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モクジ 雑念

7+女です

なんでアタシは、この人と一緒にいるのか。
カレー臭い、この部屋で。
妙に、和んでしまってるし。
なんで。

それにしても、浦原さん・・・人の家でくつろぎすぎでしょう。
“我が家へようこそ!何もおかまい出来ませんが”みたいな科白が、今にも飛び出しそう。
「紅子さん、お茶を御願いします。」
「はーい・・・って、どうしてアタシが・・・。」
“何か悪いこと言いました?”って、目で訴えないで下さいよ。
「そろそろ帰ったら、どうですか?」
そう言うと、また“なんで?”と、濁りのない目で此方を見る。
そして、欠伸と同時に、ファーッと口から情けない声を出し、両腕を大きく伸ばした。

完全に、くつろいでるよ・・・この人・・・

凹んでるアタシと一緒にいてくれたのは、大変嬉しゅう御座いますが・・・
このまま居座られたら、大変迷惑で御座います。
「浦原さーん・・・帰りましょうよぉ。」
「アレ?紅子さんも一緒に帰ります?我が家に。」
漸く口を開いたと思えば・・・。
「そう言う意味じゃなくてぇ、そろそろ御帰宅なさった方が良いんじゃないかと。」
“わかってますよ(笑)”と言って、前髪をひとつまみ指に絡ませて、ねじった。
枝毛でも探しているのだろうか、目は真剣に上を向いていて、額に少し皺が寄っていた。
「そんなに帰らせたいですか?(笑)」
まだ、目は上を向いている。
「之でもアタシは、女ですから。(笑)
 というか、彼女・・・もしくは、奥さんに怒られますよ?」
散らかったテーブルの上を片付けながら言うと、浦原さんは、漸く此方を見た。
「彼女・・・奥さん・・・・久しぶりに聞きました、その言葉。(笑)
 御安心下さい、どちらも居ませんから。」
口元に大きく弧を描いて、右手でピースを作った。
「それとも、そんなに魅力的に見えますか?(笑)」
「魅力的・・・そんな言葉、思いつきませんでした。」
「アラ、酷い。(笑)」
いや、だって、本当のことだし。(苦笑)
不思議な人だなぁ、とは思うけどね。

「あっ、ひとつ言い忘れてました。」
玄関でクルリと此方に振り返って、右手人差し指をピンと立てた。
「ん?なんでしょう。」
「紅子さんは、充分“女”ですよ。」
「・・・・。」
「ホラ、さっき、“之でも女ですから”って言ったでしょう?
 大丈夫です、紅子さんは魅力的な女です。
 デートに誘いたいくらいですよー、ホントに。(笑)」

この人は、何を飄々と玄関先で言っているのかしら・・・

そんなこと目の前で直接、言われたことのないアタシには、抵抗する言葉も持ち合わせていない。
なので、この場を、どう振り切ったらよいのか分からず、唯々、突っ立ってるだけだった。
「紅子さん?聞いてます?」
「き、聞いてますよ!そ、そんなことは、どーでもいーんです!
 恥ずかしいから早く帰って下さいよー!」
「酷いなぁ、さっきから。(笑) アリガトウのひとつも無いんスか?」

あ・・・そっか

“さあ、早く言って御覧”と、怪しい笑顔が待ちかまえている。
「・・・ありがとうございました。
 肘鉄食らわして、ゴメンナサイ・・・あ、カレー、美味しかったです。」
アタシは、ペコリと小さくお辞儀をした。
「宜しい。(笑)」
我が子を褒めるかのように、大きな手がアタシの頭を撫でた。
「やれば出来るじゃないっスか。(笑) あ、カレー、冷蔵庫に入ってますから。」
「・・・アリガトゴザイマス・・・。」

一緒にエレベーターに乗り、マンションの玄関まで来ると、其処にはカブちゃんとケイスケくんが居た。
「あ、紅っ・・・・・ドーモーッ。(ニヤリ)」
ちょっとカブちゃん、誤解しないで!
ってか、すでに誤解してるんだろうけど!

浦原さんは、満面の笑み(というか、営業用っぽいけど)。
カブちゃんとケイスケくんは、口元の緩んだ笑み。
アタシは・・・何処からどう見ても、見事な作り笑顔だった。
「じゃ、紅子、また来るから。(笑)」
と言って、浦原さんは、小さく手を振った。
この期に及んで、“紅子”って・・・紛らわしいことを言うなーっ!
「また、って・・・何しに来るんですか。(呆)」
「何を言ってるんですか、寝た仲じゃないですか。(笑)」
ちょちょちょちょちょちょっと!

 「「ニヤリ」」

コラ!
其処のバカップル!!!
ニヤニヤしてんじゃないよ!

オイ!浦原っ!帰ってんじゃないぞ!!!


+一言雑念+
不思議な人です・・・浦原さん。
アタシの中の人物像は、すでに出来上がっているのですが。
(というか、もうアノ人しかないよ!/笑)
皆さんの中では、どのような浦原像が出来上がっているんでしょうか。
宜しければ、“拍手”で教えて下さい。(笑)


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宇野 87 |メイル