雑念エンタアテインメント
モクジ 雑念
こないだのこと。 カブちゃんは、真剣に問いつめてきたけど、アタシも真剣に否定したので、どーにか丸く収まった。 カブちゃんが、物わかりの良い人で助かった。 その反対が・・・今、カウンター前で突っ立てる浦原さん。 “誤解を招くようなこと言わないで下さい!”と真剣に怒ったつもりなんだけど。 この人には、どーも上手く交わされてしまう。 “そんなこと・・・言いました?”と言って、ヘラッと笑う。 真剣に怒ってる自分が、情けなくなる。 途端に気が抜けてしまった。
厨房に大きな声が、響く。 活気のある声。 アタシは、お皿を受け取って、テーブルへ運んだ。
いつだっけ。 浦原さんに、こんなコトを言われた。
“いーっスか、紅子さん。料理は、愛情です。 愛情でもあり、お店の顔でもあります。 あなたは、お店の愛情を運ぶ大事な顔なんです。 お客様への笑顔を忘れないで下さい。”
なんだか分かんないけど、難しいわー、って思った。 とりあえず、アタシは、顔なんでしょ? 不味そうに、ふて腐れた顔しないで笑顔で運んでね、ってことでしょ? 難しいわ、そんなの。 笑顔の多い日ばかりじゃないし、笑えない日だってある。 そんな中、お客様には笑顔を、って・・・出来ないよ、アタシは。
忙しい日の笑顔は、苦手。 顔が、追いつかない。 特に今日みたいに忙しい日は。
すごいなー、浦原さん。 カウンター前で、ボーっと突っ立てるように見えて、ちゃんと周りを見てる。 スタッフに的確な指示を出してる。 普段は、飄々として、何考えてるか分からないのに。 オーナーなんだね、本当に。
「なんか今日、お店、ヘンじゃないですか?」 「そぉですか?」 一通りの指示を出して、静かに周りに目を配る浦原さんの隣に立った。 「だって、厨房、すっごい慌ててるし、ピリピリした感じですよ。」 「そぉですか? あ、今日は、しくじらないで下さいね、こないだみたいに。」 人の話を、聞いてんだか聞いてないんだか・・・。 「こないだ・・・気を付けます。(苦笑)」 「笑い事じゃないですよ、今回は。紅子さん、個室担当です。」 「個室ですか。こ・・・こしつ・・・・?!」
個室→特別室→VIP→芸能人の可能性大
頭の中に↑コレが、グルグル回ってる。 まぁ、芸能人とも限らないんだけど・・・芸能人の可能性も外せないわ。 「浦原さん、冗談やめてください。(笑)」 「冗談なんて言ってないですよ? 今日のメンバーで、1番の古株は紅子さんだし。 前もって連絡貰ってれば、他のスタッフに廻せたんだけど。 なんせ、急な予約でしたからね。」 「で・・・誰ですか、芸能人?財政界?海外大物ミュージシャン?(笑)」 しょーもない芸能人だろうな、と思い、からかい口調になった。 正面を見ていた浦原さんは、此方に顔を向けて目線を下ろした。 アタシからは、少し口角が上がっているように見えた。
「挨拶の練習、ちゃんとしてますか?(微笑)」
挨拶の練習? 挨拶の練習ぅ? なんのこと言ってるのか、全く分からなかった。 けど、その言葉を何度も繰り返すうち、答えが明らかになった。
下を向いていた顔が、頭のてっぺんを糸で操られたかのようにピンと前を向いた。 「分かりました?」 「・・・・テル・・・ですか?」 「素晴らしい、ご名答です。(笑)」
頭のてっぺんの糸は、ピンと張りつめていた。
+一言雑念+ ようやくテルの名前が。(笑) 最初のうちは、メンバー出てこないこと多いんです、アタシの書くお話は。(笑) いっつも、話しに関係のないこと書いて、無駄にスペース使ってしまいます。(汗) 学習能力に欠けてるんです・・・(´Д⊂ 皆さんの御期待に添えず、すいません(m_m)
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