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モクジ 雑念

11+明らかに

2人を部屋に通して、軽く挨拶をした。

緊張で、ボサッとしていたアタシは、自分の名前すら満足に言えず、
何もかもがグダグダだった。
普段、言い慣れた言葉が、初めて発する物のようだった。

「じゃあねぇ・・・」

メニューを取る彼の指は、映像や雑誌で見る其れと全く同じ。
否、其れ以上の物だった。
名前すらろくに言えないのに、目は、しっかりと其れに見惚れていた。

「――で、御願いします。」

「・・・え?」

「・・・之、御願いします。」

「あ、ハイ。かしこまりました。」


注文を受け、奥へ引っ込むと、浦原さんが待ちかまえていた。

「めちゃくちゃ緊張したあ・・・・出来れば、誰かと代えて下さい。」

どうにかやってるけど(色んな意味で)、心、此処に在らず。
目の前にはテルが居て、タクロウが居て。
之で“平常心を保て”ってほうが、無理でしょう。
そりゃ、指、眺めちゃうよね。

「代えませんよ。
 最後まで、全うして下さいね。」

そう言って、浦原さんは、アタシの両肩のツボを刺激するように、揉みほぐしてくれた。

「ィデデデデデ。」

「かなり凝ってますね。」

肩凝りは昔からだけど、今日は、其れに一役かってるかもね。
はあっ。

「ハイッ。
 いってらっしゃ〜い。」

ヒラヒラと手を振って、料理の乗ったカートを此方へ軽く転がした。
その表情は、まるで他人事のようだ。


カートを押して部屋へ向かった。
ノックをして、ドアを開け、小さく一礼。

「お待たせいたしました。」

会話が止まって、2人が此方を見る。
否、アタシを見て、目は、すぐさま料理へと移った。

 “冷静に・・・目線を気にせず・・・努める”

自己暗示は、大切だ。


「ごゆっくりどうぞ。」

頭を小さく下げ背を向けると、2人は会話を続けた。

「でさ、1人来なかったのね。
 どう思う?
 他の外れた人が、可哀想だよね。」

とは、テルの声。

「あのシンプルなハガキの子?」

とは、タクロウの声。

「選ぶハガキ、間違えたなー。」

と、鼻で笑うテルの声。


 其れは明らかにアタシのことだった。


一言雑念
前回に続き、(大変)御無沙汰しております。
今日、図書館に行ってきて、原稿書き直しして来ました。
しかし、其処の図書館、自習室がないんですよ。
なので仕方なく、館内に併設されてる喫茶店(とは言い難い)で
書き直しに励んでみました。
励んだ結果、ストック20あった物が、半分近く没に。
無駄な物を切り捨ててまいりました。
(この先、切り捨てても生まれるかも知れませんが/笑)
たまに行く図書館って、良いものですね。
また行こうかなー(違う図書館に)。


 ←拍手とコメント宜しく哀愁!
宇野 87 |メイル