CGI 雑念エンタアテインメント
雑念エンタアテインメント
モクジ 雑念

13+夢じゃない

選ぶハガキ、間違えたな




って。











吐き捨てたような口ぶりで。

思わず振り返ってしまって、目が合った。

・・・ビックリした・・・。

一瞬、目が合ったけど。

目が合ったけど、ほんの一瞬。

ほんの一瞬でアタシは、向き直ったから、その後のテルの表情は分からない。

会釈されたような気もしたけど・・・。

部屋を出る時に自分の頭を下げるので精一杯だったから、確かじゃないかも。






大きく溜息をついて、其の場に座り込んだ。
向こうの方で、人の喋っている声や、食器の触れあう音が小さく聞こえる。
厨房内で飛び交うスタッフの声、笑い声の弾むお客様の声、乾杯を祝うグラスの音。
此処では、全ての声が、音が、膜を張ったように不安定に聞こえた。

「サボリですか?」

店内勝手口横に座り込んだアタシの横には、いつのまにか浦原さんが腰を下ろしていた。

「サボリ・・・・では無いです。」

“でしょうね(笑)”って。
分かってるなら、聞かないで下さい。

「ハガキのこと話してた。」

「・・・ハガキ?」

「前に見せたじゃないですか、当選ハガキ。
 其れの話ししてたの、聞こえちゃい・・・や、聞いちゃいました。」

「聞いちゃ、まずいんスか?」

「まずくはないけど・・・・まずくはないけど・・・。」

頭が、こんがらがってる。

「あの当選ハガキ、大事なハガキだったんですよ。
 なのにアタシ、寝坊して行けなくなって。」

人が落ち込んでるのに、この人は横で“あの日のカレーは美味しかったですね”
なんて言って、指で前髪をつまんでいた。

人の話を聞いてんだか聞いてないんだか・・・

それでもアタシは、話を続けた。
きっと、居心地が良いのだろう。
足音もなくやってきた浦原さんの隣が。



まさか。
まさか、こんなとこで会うなんて思ってもなかった。
夢なんじゃないの?
夢だと良いけど。
夢だと良いけど、そうでもないみたい。

この店にやってきた。
運命なのか、偶然なのか、必然なのか。
とにかく、やってきた。
そして、アタシの目の前を通り過ぎた。


あの日、寝坊せずに参加してたら――――




「謝りに行っては、どうでしょう。」

まさか。
まさか、こんな提案をされるなんて思ってもなかった。

「へ?」




あれよあれよと手を引かれて、部屋の前へ。
トン、と背中を押され、足が前に出た。

此処は一つ、深呼吸を。







一言雑念
下書きノートとは、まーったく違う話しになってしまいました。
あうー、どーなっちゃうんだよー!(笑)
8割方、打ち込みながら考えました。
こんなだから、打ち込みに1時間も掛かっちゃうんだ。(汗)


 ←拍手とコメント宜しく哀愁!
宇野 87 |メイル