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モクジ 雑念

14+ワインのバカ+TE

彼女が立っていた。






ン?と眉毛を上げて、何?と表す。
彼女は、横をチラチラ見ながら顔をしかめた。
どうやら、横には誰か居るみたいだ。
でも、此方からは長い影しか見えない。

「・・・なにか?」

彼女に気付いたタクロウが、声を掛けた。

「あの・・・今・・・・宜しいでしょうか。」

一言喋るたびに、彼女は深く息を吸った。
顎を少し引いて、目線は床を見つめたままだった。

一通り食事も終わったし、今はワインを飲んでるだけだから、別に構わない。

「どうぞ。」

そう言うと、彼女は小さく頭を下げてからテーブルの前まで歩み寄った。
すると、ドアの向こうを、背の高い彼が此方を伺いながら通り過ぎた。
オレと目が合うと、彼は笑顔を向けて小さくお辞儀をした。
其の時、彼は彼女をチラッと見て通り過ぎたんだ。


「お食事中に・・・・すいません。
 あのぉ・・・お伺いしたいことがありまして・・・。」


物腰低く、彼女は言った。

バレたのかな、と思い、テーブルの下でタクロウの足に合図を送ると、
タクロウは下を向いてクックックと喉の奥で笑った。
(まあ、バレたっていーんだけどさ/笑)

「・・・さっき、お話ししてらしたのを・・・・聞くつもりはなかったんですけど。
 無かったんですけど・・・聞こえちゃって・・・。」

サインかな?

握手かな?

ま、料理も美味しかったし、今飲んでるワインも旨いし。
今ならなんだって聞くよ。(笑)



「ハガキのことなんです。」




とぎれとぎれ喋っていた彼女は、全てを吐き出すようにそう言った。


ハガキ?

サインじゃなくて?

握手でもなくて?





 ハガキ?





「あのハガキ書いたのアタシなんです。
 “当てて下さい”って書いただけのハガキ出したの、アタシなんです。
 ・・・先程は、名前も言わず申し訳ありませんでした。
 私、江戸川紅子と申します。」





嗚呼、あのハガキか。





「・・・まさか、当たるなんて思ってもなくて、当選した時は凄く嬉しかったです。
 ウキウキして緊張して眠れなくて・・・ホント、すいませんでした。」





喋り続ける彼女が、あのハガキの子か。






「緊張して眠れなかったのに、前の日に飲み過ぎて夕方まで寝―――」




彼女は、ハッとして、顔を真っ赤にした。
言うつもりのないことまで口を出たんだろう。






なんだか、酒が不味くなってきた。
タクロウは、飲み干したグラスになみなみと注ぎ入れる。
オレのグラスには、まだワインが少し残っていて、其処には、しかめ面のオレが居た。






「出て行って貰えますか?」







いつになく冷たい声。
グラスに映る自分が厭で、ワインを飲み干した。












一言雑念
や、題名は、な〜んも関係ないです。(笑)
ワインで題名を考えてたら、確か民生の曲にこんなんがあったなー、ってのを思い出して。
アレは、“イワンのバカ”だったかな?
で、今夜のような題名に。

TERUの言うこと聞いてあげたいです


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宇野 87 |メイル