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モクジ 雑念

16+オレの役割+TA

酒も呑んで、腹も脹れて。
なんとも言えない至福の時。
ほどよいアルコールが、脳内を刺激している。


カウンターに立っていたのは、入ってきた時と同じ男性だった。
そういえば、この人、彼女が部屋に謝りに来た時、様子を伺いに来てたな。
支配人か・・・オーナー、ってとこかな。

会計を済ませると彼は、“また、いらして下さい”と言った。

「あ、是非。美味しかったです、ごちそうさまでした。」

メシは旨いし、雰囲気も悪くないし。
なによりも居心地が良かった。
まあ、ちょっとしたハプニングに出くわしたけど。



何気ない会話を交わす横には、膨れっ面のテッコが。


 食欲満たせて幸せ、って言ってなかったっけ?


プリンスは、クルクルと気が変わる。
そのたびにオレは、あーしてこーして・・・・・・























 もう、慣れましたよ・・・・ええ























そういえば、彼女が居ない。
担当だった、もう1人の彼女。
部屋に謝りに来た彼女。

「あの・・・もう1人、担当の方いらっしゃいましたよね?」

カウンターで伝票整理をする彼は、ああ、と2つ頷いた。

「大変申し訳御座いません。
 少し・・・体調を崩しまして、先程、帰宅させましたが・・・何か?」

伝票をトントンと机で叩いて、四つ角を合わせる。
几帳面なのか、彼は其れを何度か繰り返した。

「や、ごちそうさまでした、って伝えて下さい。」

「かしこまりました。
 あ・・・途中、彼女がお部屋に伺ったようですが・・・。
 彼女、何か御迷惑お掛けしませんでしたでしょうか?」

彼が言ったと同時に、テッコは先に店を出てしまった。

まだ、車が来るまで時間があるのに。
外で待つっての?

「やー・・・特に何も。(笑)」

この人、彼女よりも上の人だろうし。
面倒になっても可哀想だしな。

2度目のごちそうさまを言って、テッコの後を追うようにオレも店を出た。





「ゎっ」

目の前に座り込んだテッコに躓いて、危うく、ずっこけるトコだった。

「ドアの前に座んなよ、あぶねえ。」

その様を見て、呆れた声で言うと、不機嫌な目が此方を向いていた。

「車、来ないんだもん。」

だーかーらー。
中で待たせて貰えばいーのに、おまえが早々と出るからだろ?



っつたくさー。



なんでオレが、子守しなきゃなんないのよ。
メシくらい1人で食えっての!
オレは、一体オマエのなんなんだよ!
舎弟か?
召使いか?
乳母か?
執事か?
保護者か?

・・・保護者、か・・・やだな。
しっくりきてるような気もするんだけど、気のせいか?
気のせいだよな、きっと。




あー・・・ヤンキーじゃないんだからさ、そんな格好で煙草吸うなよ。

















 って、まさしく保護者じゃん、オレ

















5分経ったけど、車は来なかった。

「道、混んでんのかな。」

その言葉すら届かないのか、返事はなかった。
テッコは、足下に溜め込んだ吸い殻を眺めているようで。
何言っても無駄だな、と思った。


普段、人通りの少ない、この通りも、この時間帯は賑やかなようだ。
飲んだ帰りなのか、頬を赤らめて、おぼつかない足取りで歩く人。
次の行き先を決めている、数人の男女。

其の中で、1人、目線を空に飛ばして歩いている人が居た。




其れは、さっきの彼女だった。





+一言雑念+
浦原さん、性格悪いっスねー。(笑)
紅子が何しに行ったか知ってるのに聞いちゃうなんて!
ま、そういうとこが、アタシ好みでもあるんですけど。(笑)

結局、タクロウ氏は、どこまでいってもホゴシャなんスかね。(苦笑)


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宇野 87 |メイル