雑念エンタアテインメント
モクジ 雑念
酒も呑んで、腹も脹れて。 なんとも言えない至福の時。 ほどよいアルコールが、脳内を刺激している。
カウンターに立っていたのは、入ってきた時と同じ男性だった。 そういえば、この人、彼女が部屋に謝りに来た時、様子を伺いに来てたな。 支配人か・・・オーナー、ってとこかな。
会計を済ませると彼は、“また、いらして下さい”と言った。
「あ、是非。美味しかったです、ごちそうさまでした。」
メシは旨いし、雰囲気も悪くないし。 なによりも居心地が良かった。 まあ、ちょっとしたハプニングに出くわしたけど。
何気ない会話を交わす横には、膨れっ面のテッコが。
食欲満たせて幸せ、って言ってなかったっけ?
プリンスは、クルクルと気が変わる。 そのたびにオレは、あーしてこーして・・・・・・
もう、慣れましたよ・・・・ええ
そういえば、彼女が居ない。 担当だった、もう1人の彼女。 部屋に謝りに来た彼女。
「あの・・・もう1人、担当の方いらっしゃいましたよね?」
カウンターで伝票整理をする彼は、ああ、と2つ頷いた。
「大変申し訳御座いません。 少し・・・体調を崩しまして、先程、帰宅させましたが・・・何か?」
伝票をトントンと机で叩いて、四つ角を合わせる。 几帳面なのか、彼は其れを何度か繰り返した。
「や、ごちそうさまでした、って伝えて下さい。」
「かしこまりました。 あ・・・途中、彼女がお部屋に伺ったようですが・・・。 彼女、何か御迷惑お掛けしませんでしたでしょうか?」
彼が言ったと同時に、テッコは先に店を出てしまった。
まだ、車が来るまで時間があるのに。 外で待つっての?
「やー・・・特に何も。(笑)」
この人、彼女よりも上の人だろうし。 面倒になっても可哀想だしな。
2度目のごちそうさまを言って、テッコの後を追うようにオレも店を出た。
「ゎっ」
目の前に座り込んだテッコに躓いて、危うく、ずっこけるトコだった。
「ドアの前に座んなよ、あぶねえ。」
その様を見て、呆れた声で言うと、不機嫌な目が此方を向いていた。
「車、来ないんだもん。」
だーかーらー。 中で待たせて貰えばいーのに、おまえが早々と出るからだろ?
っつたくさー。
なんでオレが、子守しなきゃなんないのよ。 メシくらい1人で食えっての! オレは、一体オマエのなんなんだよ! 舎弟か? 召使いか? 乳母か? 執事か? 保護者か?
・・・保護者、か・・・やだな。 しっくりきてるような気もするんだけど、気のせいか? 気のせいだよな、きっと。
あー・・・ヤンキーじゃないんだからさ、そんな格好で煙草吸うなよ。
って、まさしく保護者じゃん、オレ
5分経ったけど、車は来なかった。
「道、混んでんのかな。」
その言葉すら届かないのか、返事はなかった。 テッコは、足下に溜め込んだ吸い殻を眺めているようで。 何言っても無駄だな、と思った。
普段、人通りの少ない、この通りも、この時間帯は賑やかなようだ。 飲んだ帰りなのか、頬を赤らめて、おぼつかない足取りで歩く人。 次の行き先を決めている、数人の男女。
其の中で、1人、目線を空に飛ばして歩いている人が居た。
其れは、さっきの彼女だった。
+一言雑念+ 浦原さん、性格悪いっスねー。(笑) 紅子が何しに行ったか知ってるのに聞いちゃうなんて! ま、そういうとこが、アタシ好みでもあるんですけど。(笑)
結局、タクロウ氏は、どこまでいってもホゴシャなんスかね。(苦笑)
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