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モクジ 雑念

22+明日があるさ

テルが女を連れてきた日から、1週間が過ぎた。


金曜の夜から今夜にかけて、うちの店は猫の手も借りたいほどの忙しさにみまわれる。
ハガキのことで落ち込んだり、テルと一緒に来た女について考える暇なんて、少しもなかった。

でも、アタシは、其れで救われてるのかも。
だって、ここ数週間は、夢のようだった。

ハガキが当選したり(行かなかったけど)。
店にタクロウとテルが来たり。
車で家に送って貰ったり。
彼女を見れたり。

最後のは・・・出来れば見たくなかったけどさ。
話も出来たし、普通なら有り得ないよね。




「お疲れ様、紅子さん。」

スタッフルームのドアに手を掛けた所で、浦原さんに会った。
二言三言、言葉を交わし、すぐに別れようと思ったのに、そうもいかず。
犬が飼い主に寄りつくように、浦原さんは近づいてきた。

「こないだは、女連れでしたね。」


その話しか。


「でしたね。
 でも、有名人なんだし、そういうのは当たり前なんじゃないですか?」

「そういうもんですかねえ。」

「そういうもんですよ、きっと。」


そう。
だって、アタシは全てを知ってるワケじゃないし。
あんな面があったって、全くおかしくないはず。
不思議じゃない。


「そうですか・・・・そうですね。」

そう言って、浦原さんは、グーにした右手を左の掌にポンと打ち立てた。

「だから、明日も予約が入ってるんですね。」

「は?」

「お二人で御来店らしいですよ、明日。
 直接、御本人からお電話頂いたそうです。」


予約・・・入ってるんだ、明日も―――


誰と来ようが、アタシの知ったこっちゃ無い。
アタシは、お客様として接するのみ。

「之は、常連さん間違いなしっスね。」

満面の笑みの浦原さんに、アタシも笑顔を返した。

「良かったですね、浦原さん。」

「ワインは、高いのを用意して・・・あ、ロマネ・コンティなんてどうでしょう。」


悪代官だなー、この人。



浦原さんに頭を下げて、スタッフルームのドアを押した。
すると、ガチャリと閉めたドアの向こうから、くぐもった浦原さんの声が聞こえた。


「御指名だそうですよ、明日。」



+一言雑念+
あぶねっ!
危なかったよ!
前回から1週間経ってたんだね!
「なんで、こんなにカウンター回ってんだ?」と思ってたのよ。
そうか、そういうことか。
みんな、更新を待っててくれたんだね!(感謝)

之からは、忘れないよう気を付けます (;´Д`A ```


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宇野 87 |メイル