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モクジ 雑念

25+好き嫌い

江戸川さん。

江戸川さん。

江戸川さん。


なんて心地良いんだろう。
まるで、好きな人に呼ばれた時の感覚に似てる。
(尤も、好きにな人には下の名前で呼ばれたいけど)

叶うなら、もう1度、呼んで下さい。

「江戸川さんのオススメ、幾つか持ってきてよ。
 あ、オレ、ジャガイモとプリンは駄目だから。
 それ以外で御願いね。」

呼んでくれた。

願えば、乞うも簡単に叶うものなのか。


「ジャガイモとプリン、ですか?」

「うん。口の中がモサモサするでしょ?ジャガイモって。
 あの感じが、どーにも駄目でさ。
 手料理代表の肉じゃがも、オレにとっては、唯の嫌がらせなの。
 だから、オレに手料理御馳走してくれる時は、肉じゃがはやめてね。
 突き返しちゃうから。(笑)」

何か、空気が抜けたように、テルは止まることなく話し始めた。
パンパンになった風船が、音を立てて、凄い勢いで空気が漏れ出すような。

さっき、椅子に凭れて、大きく息を吐いたのが、その合図だったのかもしれない。


「江戸川さんは、嫌いなもの無いの?」

「私、ですか?」

「うん。」

「・・・・特に・・・無い、です。」

「えらいねー。
 オレはさ、ジャガイモとプリン以外なら何でも平気なの。
 なんで好き嫌いなんてあんのかな。」

「・・・それは・・・・人と同じじゃないですか?」

「人?」

「好きな人は容易に笑顔で迎え入れるけど、嫌いな人には、そんな体制とらないし。
 かまえちゃったり、見た目とか先入観だけで判断したり。
 ・・・簡単なことですよ、きっと。
 ジャガイモもプリンも、あんなに美味しいんだもん。」

風船から、また空気が抜けた。

「江戸川さんは、どっち?」

「・・・どっち、とは・・・・。」

「こないだのオレと今日のオレ、好き?それとも・・・嫌い?」


この人は、自分の体裁の無さを分かって繕っているのかもしれない。


自嘲気味な口元を見て、そう思った。



+一言雑念+
アタシは、ジャガイモもプリンも好きです。
嫌いな物は・・・酢豚のパインとか、サンドウィッチのトマトとか。
でも、トマトは嫌いじゃないよ、モリモリ食っちゃう。
あ、ピクルスも嫌いです、なんだあれ。
さあ、テル風船は、どう動くのか。


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宇野 87 |メイル