雑念エンタアテインメント
モクジ 雑念
「江戸川さんの好きなもの持ってきて」
そう言われたので、数品見繕って部屋に運んでみると
−誰も居ない−
おいおいおい、どういうことよ。 持ってきて、って言うから持ってきたのに。
ワケを説明して、オーダーしたものを一旦、厨房で預かってもらった。 案の定、料理長はご立腹。 そうだよね、心を込めて作ったんだもん。 ごめんね、料理長。
って、何でアタシが謝ってんだ!
「あ、浦原さん!テルさん知りませんか?」
廊下で擦れ違った浦原さんに尋ねると、笑顔でこう言った。
「帰られましたよ。」
「は?だって、料理、まだ運んでな−」
「多めに払って行かれましたよ。 お返ししないといけませんねぇ、之は。」
帰った、って。
しかも
多めに払って、って。
なんなんだ?
「紅子さん、今度、差額をお返しに行ってはどうでしょう。 んー・・・・事務所にでも行けばいーんじゃないですか? あ、それと。 これ以上の御来店は御遠慮願います、って伝えてくださいよ。」
眉間に皺を寄せて、口を尖らせながら話しを聞いていると、 浦原さんの後ろをテルさんと一緒にいた彼女が通った。
←拍手とコメント宜しく哀愁!
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