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モクジ 雑念

27+ドロン

「江戸川さんの好きなもの持ってきて」


そう言われたので、数品見繕って部屋に運んでみると





 −誰も居ない−





おいおいおい、どういうことよ。
持ってきて、って言うから持ってきたのに。




ワケを説明して、オーダーしたものを一旦、厨房で預かってもらった。
案の定、料理長はご立腹。
そうだよね、心を込めて作ったんだもん。
ごめんね、料理長。


 って、何でアタシが謝ってんだ!


「あ、浦原さん!テルさん知りませんか?」

廊下で擦れ違った浦原さんに尋ねると、笑顔でこう言った。


「帰られましたよ。」


「は?だって、料理、まだ運んでな−」

「多めに払って行かれましたよ。
 お返ししないといけませんねぇ、之は。」


帰った、って。


しかも


多めに払って、って。




 なんなんだ?





「紅子さん、今度、差額をお返しに行ってはどうでしょう。
 んー・・・・事務所にでも行けばいーんじゃないですか?
 あ、それと。
 これ以上の御来店は御遠慮願います、って伝えてくださいよ。」



眉間に皺を寄せて、口を尖らせながら話しを聞いていると、
浦原さんの後ろをテルさんと一緒にいた彼女が通った。


 ←拍手とコメント宜しく哀愁!
宇野 87 |メイル