雑念エンタアテインメント
モクジ 雑念
あれから数日後。
店が暇な合間をぬって、アタシはお使いに出た。
女子1人で之だけの量持てるのか?ってくらいの大荷物。 浦原さんは、“大丈夫っスよ〜”と、お使いメモと封筒を渡して、 ワイングラスを丁寧に拭き始めた。
「なんですか?この封筒。」
「此間の御代ですよ。多めに貰ってた。」
「こないだ・・・あぁ、え、ホントにアタシが行くんですか?」
「・・・・紅子さん以外、誰が行くんですか?」
や、そんな真面目な顔されても困るんですけど・・・・。
と、まあ、数時間前の反論虚しく。 某事務所ビル前で大荷物を抱えた女子が、こうして突っ立ってるわけですよ。
しかし、なんだね。 来たのは良いけど、確実に此処に居るわけでもないし。 事務所の人にワケ言って頼んだって、会わせて貰えるわけ無いし。
いやぁ・・・確実に間違ってるよね。
お金、とりあえず店に保管しといたら駄目なのかな。
あ、駄目か。
浦原さん、“これ以上の御来店はお断りします”って言ってたし、 店に置いてても意味無いのか。
どうしたもんか・・・帰るに帰れない。
大きなビルを眺めながら、困り果てること数十分。 アタシの背後に走ってる道路でタクシーが止まった。
そこから、あの人が降りてくることなんて全く気付かなかった。
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