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29+封筒

あれから数日後。


店が暇な合間をぬって、アタシはお使いに出た。

女子1人で之だけの量持てるのか?ってくらいの大荷物。
浦原さんは、“大丈夫っスよ〜”と、お使いメモと封筒を渡して、
ワイングラスを丁寧に拭き始めた。


「なんですか?この封筒。」

「此間の御代ですよ。多めに貰ってた。」

「こないだ・・・あぁ、え、ホントにアタシが行くんですか?」

「・・・・紅子さん以外、誰が行くんですか?」


 や、そんな真面目な顔されても困るんですけど・・・・。




と、まあ、数時間前の反論虚しく。
某事務所ビル前で大荷物を抱えた女子が、こうして突っ立ってるわけですよ。


しかし、なんだね。
来たのは良いけど、確実に此処に居るわけでもないし。
事務所の人にワケ言って頼んだって、会わせて貰えるわけ無いし。

 いやぁ・・・確実に間違ってるよね。

お金、とりあえず店に保管しといたら駄目なのかな。

 あ、駄目か。

浦原さん、“これ以上の御来店はお断りします”って言ってたし、
店に置いてても意味無いのか。



 どうしたもんか・・・帰るに帰れない。



大きなビルを眺めながら、困り果てること数十分。
アタシの背後に走ってる道路でタクシーが止まった。




 そこから、あの人が降りてくることなんて全く気付かなかった。


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宇野 87 |メイル