深海図鑑

2003年01月14日(火) 29日午後7時半

駅のバスプールにいる。
私はあるひとつのバス停に並んでいて、私の前にも、私のうしろにも、行列ができていて、私は右手に大きなバックを持っていて、左手には、一枚のキップを持っている。
今から高速バスで東京に行くつもりで、キップはそのための乗車券だけれど、席の予約をとっておらず、自由席で行こうと思っていて、手のキップはそのためのもの。(そのキップは、高速バスのキップの形状ではなくて、JRのキップのそれだった)
内心、こんなにたくさん人がいるんじゃ、席がないかもしれないと思って少し焦っていた。
腕時計を見ると、午前9時過ぎだった。私は何時にバスが来るのか、たしかめていなくて、だけれどおぼろげに、何分と何分に来るはずだ、と思い出したり忘れたりをくり返していた。
でも、時間になってもバスが来ない。
こうなると、新幹線に乗って行かないとだめかもしれない、と思って、私はバスプールの階段を、駅に向かうために登る。腕時計を見ると、もう午後5時になっている。
5時ということは、今新幹線に乗っても、夜のお芝居に間に合わないと思う。
それに、なんだか、バスが今にも来るんじゃないかとも思って、またバス停に並ぶ。
1日ここに並んでしまったなーとぼんやり思っていると、列の最初の方に並んでいた女の人が、どこかで状況を聞いていたらしく、通りの向こうから、「わかったわよーーー」と大声で言いながら走って来るので、バス停に並んでいた人達も、早く状況を知りたくて、その女の人のところまで駆け寄った。私もその中のひとり。
女の人は、息を切らせながら「バスは来ないわ。途中で事故かなんかあって止まっちゃってて、まだこっちについてもいないって」と言う。
それで、みんな、各々、「なんだよ」とか「どうすんだよー」とか言っていて、私も、じゃぁ新幹線で行くしかない、と思って、また駅に向かうけれど、腕時計を見て、今日は29日だよなと思って、私は29日の午後7時半からのお芝居を見るんだったんだと思って、今日は29日で、今は29日の午後5時で、東京についてもいない、と思って、混乱して、なんども、私は29日に東京にいなくてはならなくて、でも今日が29日で、まだ仙台にいる、と何度も何度も繰り返し考える。


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