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2015年03月25日(水) ワードマップ「TEA:複線経路等至性アプローチの基礎を学ぶ」

新曜社から「ワードマップTEA:複線経路等至性アプローチの基礎を学ぶ」がでました。月末には書店にならぶのではないかと思います。当初、1冊の書物として構想されたのですが、数多くの著者が少しずつオーバーした結果、「理論編」「実践編」という2冊に分冊されることになったようです。私は「理論編」に「ケースフォーミュレーションを考える:TEAがもたらすもの」と題して、臨床心理実践において用いられる「ケースフォーミュレーション」にTEAという考え方をいれることでもたらされるものについて一節を書かせていただきました。

このTEAは10年前、立命館大学のサトウタツヤ先生と、現在はデンマークのオールボー大学におられるヤーンヴァルシナー先生とが共同で構想されたアイデアをもとにして、サトウ先生や、立命館大学の安田裕子さんが中心となって概念化と普及をすすめ、現在ではかなりの領域でユーザーのいる手法となってきました。この3月におこなわれた発達心理学会のチュートリアルセミナーではTEAに関するものまでありました。

「複線経路等至性」という概念をひとことで説明するのは難しいのですが、自分なりにとらえたところでいうと、人はひとつの達成へといたる際に、単一のレールのうえを走って辿りついたわけではなく、潜在的には無数にあった複数の分かれ道をその都度その都度えらびとって結果としてそこにいる。そういう存在として人間をとらえようということではないかと思います。例えば、私が専門としている「非行」を例にとっていえば、有名人のなかでも「かつてワルかったが、いまは非行からたちなおった」とされる人がいますよね。このような人たちを「元ヤン芸能人」としてひとくくりに理解することはできるだろうし、実際のところ「たちなおった」という1点にしぼれば「同じ」だといえます。とはいえ、至った結果は同じでも、そこにいたるまでに通ってきた道は人によって相当にバラエティーがある。ただ、それは人それぞれというほどカオスでもなく、やっぱり、非行から立ち直ろうとする際のきっかけとなる出来事というのがあり、あるいは、ある場面で非行を継続するか、立ち直るのかを決めるような分岐点というものが存在する。そういった緩やかに共有される通過点をみいだしながら、人の多様性を描き出していくというアプローチといえるでしょうか。

 私は直接にこのモデルを使ったことはなかったんですが、最近、いくつかの発表ではとりいれようと試行錯誤しています。例えば、1人の人生を、潜在的には多様である経路がありつつ、しかし、ひとつの道をえらびとってここにいる人としてマッピングするうえでは使えるんじゃないかと思っています。

「意味」は比較のなかでうまれます。1人の生き方がどれだけユニークであるかは、実はその人が何をおこなっているかということよりも、その1人をみるうえで、その人でない何十人、何百人の人生経路とかさねあわせる私たちの目にかかっているといえるのではないでしょうか。例えば、自分の子どもが生死をわけるような事件をくぐりぬけた人からみれば、勉強ができないとか、スポーツができないとかは関係なく、ただ生きていることそのものが、どれだけの奇跡の連続のうえになりたっているのかが実感されることでしょう。TEAはそういう作業を、まったくの想像力ではなく、客観的にとれるデータに基づいて示していこうという試みなのではないか、と、そういうふうに思います。

使う人によってアレンジしていける余地が残されているのも魅力かなと思います。是非、多くの人に手にとってみていただきたいと思います。

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