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先週、職場の相方(以前の日記でも少し触れたことがあるとは思うが) から、3冊の本を借りた。
そのタイトルは『閃光のハサウェイ』。
この3冊とは、その『上』、『中』、『下』巻である。
・・・またガンダムがらみの日記になって申し訳ない。
だが、僕にとってのガンダムとは、 ”もはや数々のかっこいいロボットが戦って勝敗を競う・・・” といったような、『子供向けロボット・アニメ』では、ない。
ただ、純粋に、このガンダムの世界が、好きなのだ。 著者の富野(及び安彦ら他STAFF含む)が、構築、形成したこの 宇宙世紀(ユニヴァーサル・センチュリー)が好きなのだ。
このモビルスーツによる戦争は、 電磁波を妨害するミノフスキー粒子が発見されれば、 (んまぁ、ミノフスキー粒子の発見がウルトラCなのだが) 僕みたいな素人目には、 まず現実未来的に起こり得そうだと思わせるからである。
実際に、オウムの教えの中にも盛り込まれているくらいである。 (それでオウムが凄い、ということは決してないが)
この『閃光のハサウェイ』は、アムロ・レイやシャア・アズナブルらが 登場した『1年戦争』から始まり、『逆襲のシャア』まで続いた オリジナル・ストーリー(僕にとって)の歴史軸においての、 最後となる作品で、小説というフォーマットでしか発表されていない。
ハサウェイとは、あのホワイト・ベースの艦長ブライト・ノアと、 その操舵士であったミライ・ヤシマとの間に生まれた2人の子供のうちの、 長男である。
『逆襲のシャア』では、相手方ネオ・ジオンのパイロット、 クエス・パラヤに恋をし、そして失う・・・という、 アムロやシャア、カミ−ユ・・(ちなみにジェリドもか)が経験した ニュータイプの悲劇を蒙る。
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今作の面白いところは、遂に地球連邦軍を”悪しき物”(敵)として 明確に書いたことだろう。
今までを振り返ると、1年戦争の頃はホワイトベースが連邦政府に 実験台として使われたり、 囮に使われたりはしたが、ジオン(というかザビ家)は コロニー落としたりとか、あきらかに”敵”らしい 振る舞いをしていたから、やはり敵はジオンだった。
だが”Z”の頃から変わりだす。連邦政府の力は弱まり、 ティターンズが生まれた。 そしてそれに対抗すべくエウーゴが生まれた。 だが、物語後半になると旧ジオンのアクシズが登場し話がややこしくなるが、 ティターンズの非人道的作戦が、しっかりと彼らを”悪役”にしてくれた。 が、ティターンズは地球連邦軍である。
”ZZ”は誰にでもわかるロボット・アニメにするために、 敵味方をわざとハッキリさせた。 そのために、わざわざアクシズをネオ・ジオン軍にネーム代えまでさせた。 物語後半に、エウーゴまかせのやる気のない連邦幹部らが出てくる。 このシーンはストーリーを理解する上ではかなり重要だが、軽く流される。
”逆襲のシャア”では、そういった連邦政府に嫌気がさしたシャアが 本当の世直しをすべく、再び地球連邦軍と敵対するのだが、 人類を空(宇宙)に上げるために、アクシズを地球に落とすってのは かなり強引だし、地球の環境的再建をすべく空に上がり、 コロニーでの生活をはじめたスペースノイドの意思とも、筋違いである。
だが、地球連邦軍が腐敗していっているのは、明らかだった。 戦争が無くなった”逆襲のシャア”以降の連邦政府は、 自らの特権を振りかざす以外のことは何もしていないに等しかった。
それは地球連邦軍内部の人間も肌で感じ取っていたことで、 ”美味い汁”を吸っているのは、上層部だけだった。
宇宙世紀が誕生して、約1世紀。 遂に地球連邦政府を粛清せねばならない時が来たのだ。
ハサウェイは、時代に乗れなかったシャアの意思を半分くらい請け負った形で 世直しをする。
『マフティー・エリンだっ・・・!』
しかし、人の世の中で正義が勝ったことは、意外と少ない。 というか、正義とは一体何なんだろうか?何が正しいのだろうか?
僕はこの時期の富野が書いた、”リアリズム”が好きだ。
この冷たさに魔性の魅力を感じるからだ・・・。
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