今日も一日忙しかったれす。「心を亡くすと書いて忙しい」って本当だなー、としみじみしとるよ。余裕もないです。
「お菓子とわたし」森村桂 小さい頃、この人の書いたエッセイが家にあって読んだ覚えがありました。アメリカのスーパーで普通に売っているケーキミックスの粉は卵と牛乳を混ぜて(←このへんうろ覚え)天火で焼くだけで、ふっくら美味しく焼き上がる優れもので、でもどういうわけか日本には売っていなくて、それが欲しくてたまらなくてアメリカまで買いに行った彼女。ついでにその頃やはり日本では売っていなかったポップコーンの素。アルミのフライパンにバターととうもろこしが入っていてパッキングされていて、火にかければ簡単に美味しいポップコーンが出来るっていう、アレです。その二つを大量に詰め込んだ重いスーツケースを引きずて帰国して、お友達に誇らし気におすそわけしたら「これ、紀伊国屋に置いてあるよ」と言われてものすごいショックを受けた…って話が印象的でした。引用が長くて申し訳ない。
で、この「お菓子とわたし」で成人してから初めて彼女の本をちゃんと読みました。お菓子にまつわるエッセイです。すんごく美味しそう〜! 読んだ後、甘いものがさほど好きでない私が、近所にある美味しいケーキ屋さんまで思わずお菓子を買いに行ってしまったもの。でも結局買わないあたりが私(眼福でおなかいっぱいってやつです)。この作家は本当にお菓子が大好きなんだね。ケーキ気狂い。どのページを開いてもケーキやパイやクッキーへの愛と執着が溢れています。粉や砂糖やバターやバナナや苺なんかを使って作るお菓子の描写が、とにかく読んでてたまらなく美味しくて、紙面から甘い香りが匂い立つような。この本を読んで少しケーキの認識が変わりました。そもそもケーキっていうのは焼き立てを楽しむもので、だからパリのきちんとしたケーキ屋さんには必ずカフェコーナーがあって、お店の中で食べて行けるようになっているのだという事(そう言えば近所のお店もそうだ)。つくり置きのケーキは既にケーキではなく、当然買って来て冷蔵庫の中に翌日まで入れっぱなしなんて事はもっての他、って話です。そうかー。
森村桂は現在 63 歳で、私のお母さん世代。彼女は自分の育ったお家があまり裕福でなかったと書いていますが、そのわりには学生の頃から世界のあちこちへ旅行に行っていたあたりになんとなく上流階級の薫りがする。貧乏旅行と言われるとそれまでなんだけど、いずれにせよ当時そんな事が出来たっていうのはすごくハイカラだと思うんだけど。でも彼女のお父さんが作家ってところで一般のご家庭とは雰囲気違ってたりとか、やっぱりあるのかな。■
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