2004年01月20日(火)
お盆持ってたらコケてたわ!
主任から
「せりちゃん、今夜、暇〜?」
と聞かれた。
今夜に限らず、大抵の夜は私は暇だ。
ニチョとプランのライブが無い限り。
だもんで、
「暇ですよ〜」
と答えたら、渋谷にご飯を食べに行こうと誘われた。
ウチの会社から渋谷は微妙な距離(遠くも無いが近くも無い)なので珍しいなぁと思いつつも誘いに乗る。
今日はちょっと残業が入ったから会社から出るのが若干遅くなったが、渋谷行きは予定通り決行。
渋谷egg siteに行く方の通りにあるお店で食事。
向かい合わせの席に座ると主任は開口一番、
「せりちゃん、私がいない時にヤマダさんからどんなこと言われたりされたりしてるの?」
と聞いてきた。
丁度金曜日にもミカコさんから聞かれた。
「せりちゃん、ヤマダさんのことを正直どう思う?
私が横から見てる限りは、せりちゃんに対するヤマダさんの言動や行動って後輩イジメとしか思えないの」
と。
ヤマダさんについては、日記でも時々触れている。
ただ、この関係のしっくり来なささは、私とヤマダさんの相性の問題なんだろうと思っていた。
だから、自分の人格や過去や未来を全否定されるようなことを言われても、私のプライバシーにまで介入して来ようとするしつこさに辟易しても、そのことについて主任やミカコさんに相談しようと思わなかった。
私が社会人1年目ということと経験不足で、常識的に知っているべきことを知らなさ過ぎるから、ヤマダさんが憎まれ役を引き受けて教育してくれているんだろうと思っていた。
しかし、ミカコさんはきっぱりと言い切った。
「私、どう考えてもヤマダさんのせりちゃんに対する態度は、「教育」の域を超えていると思うの」と。
そして、実はミカコさんも主任がいない時にヤマダさんからいびられたり嫌味を言われていることを知った。
金曜日、私が退社した後、ヤマダさんが自分の仕事をほっぽりだして、あまりにとんちんかんな言いがかりをミカコさんにつけてきたらしく、ミカコさんはキレたらしい。
そして、外勤だった主任に事の経緯と私に対するヤマダさんの行動を訴えたそう。
薄々は感じていたが、自分がいないときを見計らってヤマダさんがそんなことをやっていることを知り、主任はブチ切れたらしい。
その場に私はいなかったが、2つの情景は想像するだけでも恐いものがある。
私は割と「人に恵まれる人生」だと思う。
おっちょこちょいだし、ポーッとしているし、引っ込み思案、とあんまり社交的な性格ではないけれども、その割に、会社では、他の班の人から「せりちゃん」「せりくん」と声を掛けてもらえる。
上司や先輩にも今まで恵まれている。
今月からシロタさんという人が新たに入ってきたが、この方もさっぱりとして良い先輩だ。
今まで仕事で接した社外の人も、(何故こんな若造に…)とこちらが恐縮するほど、人当たりが良い人達ばかり。
だから、ヤマダさんの私に対する態度や言動には凄く戸惑った。
だけど、自分と合う人が良い人とは限らないし、気が合う人・合わない人がいてこそ社会だろうと思うから、私は自分なりの誠実さで接しているつもりだった。
あまり、「この人は○○な人だ」とフィルターを掛けた目で見ることは極力避けた。
「ありがとう」と、些細な一言でも言ってもらえたら、それだけで充分だった。
ところがところが。
「社外の人への応対マニュアル」というものがあるのに、わざと私にその存在を知らせなかったヤマダさんは、私がしどろもどろに用件を伝えている姿を主任が見ているのを見計らった後、わざわざ主任を廊下に連れ出し
「せりさんって、ちょっと対人関係に問題があると思うんですが」
と言っていたそうな…。
そのことを主任から聞いたとき、私の頭の中は、(もうそれこそ)でっかいクエスチョンマークがぐるぐる渦巻いていた。
「はぁ〜〜〜っ!?」だ。
その場に水が入ったコップとお盆があったら、それはそれは、ハリガネの漫才ばりにお盆を持ったままズル〜ッとコケて、水をバシャ〜ッとかぶっていただろう。
惚れ惚れするようなコケをしていた自信がある。
「え〜っ!?」と私が思わず発すると、主任は
「だからね、私聞いたの。
『せりが慣れてないのを知っていて、どうしてあなたはマニュアルのことを教えなかったんですか?』って。
そしたら、『知ってると思ったんです』って。
言い訳はすぐ出るのよね。謝りはしなくても」と、こちらもため息をつく。
そしてその後も、私やミカコさんについて、見事に事実と180度違う報告をヤマダさんが主任に数々していたことを知った時は、もう笑うしかなかった。
特に私に対する報告のねじまげ度具合は、もうあっぱれというしかない。
それにしても、会社にいる8、9時間程度の付き合いしかないヤマダさんにどうして私がそこまで恨まれなきゃいけないのか、かなりの謎だ。
何かがものすごく気に食わないんだろうな。
8、9時間という、睡眠時間程度の付き合いしか無い人にそこまで嫌われる私って。
そこまで嫌えるヤマダさんって。
ヤマダさんがすっとこどっこいであるから、私の仕事ぶりに関する主任の考えを聞けたし、私の考えを主任に伝える機会が持てた。
そんなことが前夜行われたことをおくびにも出さず、私も主任も明日出社する。
私は嘘を平気で吐ける。
明らかに妙ちきりんな言いがかりとしか思えない叱責をするヤマダさんの前でしおらしい態度を取ることも出来るし、ネチネチとした嫌味を昼ごはんの間、ずーっと言われても、堪えてないフリを取ることも出来る。
私がヤマダさんの言うことをおとなしく聞いていれば、ヤマダさんはそれで満足する。
だけど、ヤマダさん1人が乗ったエレベーターが下ったのを見計らった途端、別れ際笑顔でしおらしく見送っていた筈の小娘が、
(何か起きたらエエねん)
とばかりに、エレベーターを音が立たない程度に蹴っ飛ばしていることをヤマダさんは知らない、恐らく。
主任やシロタさんや社内の人は言うに及ばず、社外の人でも、尊敬できる人の仕事ぶりを必死で取り入れて自分のものにしていき、いつか「エレベーターの扉」なんて間接的なものではなく、「社内のヤマダさんの立場」そのものを蹴っ飛ばすことが2004年の私の野望。