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2016年06月15日(水) 「痴漢撲滅ポスター」と俗人首長吊し上げ

気がつくと6月も半ばに差し掛かっている。
気まぐれに徒然なるままに未だ『徳川夢声戦争日記』を読み続けている。
1945年5月のところまで読み進んだ。
夢声曰く、B29帝都来襲の際に繰り広げられる防空戦の「美しさ」に、これを見物料と思ったら家を焼かれても致し方なかろうと。
どこか感覚が狂っていたのだろう。
しかし戦争の悲惨さより、その「美しい情景」を嗜んでいる様子もまた「真実」だったのだ。
自分の家を焼かれる恐怖があったに違いないが、もうここに至ってはどうでもいい。
望む望まぬに拘わらず、戦争というものは恐らくすべての価値観を一変させてしまう力がある。
帝都の焼け野原に萌える新緑も「美しかった」らしい。

駅でよく見る「痴漢撲滅ポスター」。
コミック風に構成されているやつだ。
あれを観る度に「美人局」を連想させるのはなぜだろう。
そして最近は、マスコミが拠って集って叩いている首都の現役首長を連想させる。
周りの者を煽って一人の人間を徹底的に潰そうとする様。
これを「村八分」とか「いじめ」とか言うのだろう。
散々、己自身がそれに対する撲滅キャンペーンを謳っておきながら、自ら全国レベルで「いじめ」「村八分」を展開するという滑稽さは類を見ない。
自覚がないのか?それとも自覚があってやっているのかは知らない。
記者会見で泣き喚いた地方議員、オリンピックエンブレムデザイン盗用疑惑のデザイナー、そして今回の公金使い込み疑惑首長。
探せばまだまだ枚挙に厭わないだろう。
メディアスクラムとか「おぼれた犬は叩け」とか、まあ残酷なものである。

所詮皆、俗人なのである。
この国のほぼ100パーセントは俗人で構成されている。
俗人による俗人のための俗人の国がこの日本だ。
聖人君子などどこにもいない。
にも拘らず、俗人中の俗人である「議員家業」と「マスコミ家業」が、事もあろうに聖人君子面して俗人を裁こうとしている。
これほどの欺瞞を平然と「正義」と語っていじめ行為に奔走している様は恐怖にしか写らない。

昔、小学5年生の頃だったか、クラスでいじめ行為があった。
公園の一角でいじめ対象者を拠って集って突き上げる行為は昨今のテレビとそっくりだ。
もっともらしい理由をつけ、コメンテーターなる「良識者」がのたまう台詞は、いじめに加担した当時のクラスメートと言い様が瓜二つ。
程度の差はあれど、公金をプライベートに流用するなど、マスコミや議員家業に携わっている者としたら専売特許ではないか。
だが、自分のことは棚に置き、国政選挙が近づくやいなや、己の議席を確保するためには取り合えずスケープゴートを作っておかねばと誰かが頭を捻って妙案を考え付いたのだろう。
挙句、この乱痴気騒ぎだ。
選挙を控える議員業者にとって「正義」「潔癖」を装うのも選挙7つ道具の一つ。
マスコミ業者と一緒になって与党も野党も首都の現役首長を「悪党の象徴」とつるし上げ、糾弾し、テレビで「正義」を打ち始める。
まさに己の権利欲丸出しの俗人中の俗人が為せる行為であって、それとこの俗人首長の為したことと、如何程の違いがあるというのか?
いや、どこにもない。
議員商としての既得権と首長としての既得権。
目くそ鼻くそを嗤う。

俗人は俗人と認め、俗人らしく泥水に浸って身の程を悟り、おとなしく俗人として俗にまみれていればいいのに、俗人が微塵も持ち合わせていない「正義」「誠実」を言い出し始めた瞬間から不幸が始まる。
この日本に「正義」を謳える聖人君子はどこにもいない。
いるのは「聖人君子」を装った狡猾な俗人策士だ。
そんな策士に唆されて加勢に走る愚かな人間もこの国には多い。「村八分」が専売特許のお国柄だ。
そして、今こうして首長を叩いている俗人議員業者が国政に携わっている事実。
中国も笑って領海侵犯出来る訳だ。

このまま首長が辞任し選挙になると、4年後、東京オリンピック真っ盛りにまた都知事選挙をしなければならない。
オリンピック招致、オリンピック旗引継ぎ、そしてオリンピック開催当日、すべて違う人物が都知事の席に座ることになる。
一貫した責任者も指導的役割を担う者も現れない。
長期的視野を失い、ただ目先の既得権に翻弄されるだけの愚衆が蠢いているだけの国、日本。

だがそれがお似合いなのだろう。
そもそも首長に「清廉潔白」「誠実」「正義」など求めたところで、ろくなことにはならない。
そういう人間に限って人から自由を奪う。
公金を私的流用しないからといって、その人物がまともだとは必ずしも言えない。
清廉潔白で「飲む打つ買う」にも関心なく、お金にも綺麗な絵に描いたような誠実者が当選したとしよう。
だが顔の皮一枚はがせば己の思想信条に逆らうものに対して異様な憎悪を滾らせる潔癖症だったらどうする。
俗欲に関心のない人間に限って屈折した異常者も多いものだ。
公金に手を出さない代わりに焚書や都民監視、弾圧、収容所建設に予算を投入することに異様な情熱を傾ける人間だったら。
偏った思想信条だったり、バックボーンが怪しげだったりしたら。
今回もそんな胡散臭い候補が蠢いていそうだ。
それこそ、都民にとっては災難だ。

駅の痴漢ポスターに描かれた「痴漢だ!」と叫んでいる人物が、この世で最も疑うべき存在だ。
それに唆されて便乗したらひどい目に合う。
俗人都民には俗人首長がお似合いなのだということは肝に命じておいたほうがよい。


絶望皇太子