私の中で、鮮烈に記憶として残っているのは 視覚でも聴覚でもなく、まして味覚でもなく嗅覚だ。
記憶として残っている、というのは語弊があるか、 不意に思い出すきっかけが 嗅覚である事が圧倒的に多い。
昔から考えるのだが 嗅覚というのは五感の中でも少し浮いていないだろうか? なんというか、あまり存在に必然性が感じられないのだ。
他の感覚は危険を感知するのに役立つ気がするのだが 嗅覚についてはあまり当てにならない気がする、 それが大きな理由である。
鼻が利く、のであれば あるいは視覚や聴覚以上に外敵を感知するのに役立つのだろうが。 さしあたって、現代の日常生活においては 他の感覚のおまけみたいな位置づけだ。
もっとも、そもそも五感という区分自体が 勝手に決めたもので、絶対的なものではないわけなので その中で意味がある無いを考えるのも微妙かもしれないが。 例えば温度を感じるなんて 恐らく五感のどれにも当てはまらない気がする。 しかし、感覚の一種といわれれば誰もが納得する感覚だ。
語呂もよく、覚えやすく五感と呼ぶが 何か意味があって分類されているのか。
……それはともかく、 恨めしいほどに嗅覚に悩まされる27年。 私の悪癖の一つは、間違いなく嗅覚に依存している。
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