| 2001年06月13日(水) |
第1回 日記に書くねたがないからじゃない、と思う |
その少年――平井 洋は闇の中にいた。 闇?その表現は適切でない。漆黒…いや、無の中にいた。 いた?その表現もまた適当でない。 彼の存在はまだ不確定だったから。 意識はある。はっきりしないが。もうろうとしながら…。 ここはどこなのか。 考えはまとまらない。 次の瞬間、彼は意識を絶つことにする。 眠るかのように。 そのトキがくれば目覚めることに気づいたから。
………どれほどのトキがたったのだろう。 一瞬か、永遠にも近い時間だったのか。 その双方の違いは、ここでは意味を持たなかった。 トキという概念がないから。 それが一瞬であっても永遠であっても何も変わらない。 彼は覚醒した。 収束と発散を繰り返しながら。 しかしこれ以上の安定した自己は望むべくもない。 これ以上に安定した自分はいない。 それはなぜか解っていた。
覚醒してから、意識はしっかりしていた。 彼は状況を確認すべく、自分を「考えて」みた。 『考える?』なぜ? 目を開き回りを確認すればいい。 そうしなかったのは、できなかったのは… 目がなかったから。目だけではない。肉体が、すべてがなかった。 周りにも、「ここ」にも。 だから彼は無意識のうちに考えることを選んだ。 なぜ考えることはできるのか? 意識の依るべき処はないのに? 彼は混乱した。 だからもう一度意識を絶つことにした。 ここから逃げ出すために。
再び覚醒したとき、其処がベットの上であることを願いながら。
…ものすごく暇なら「続く」…かもしれない。
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