想
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研いだばかりの包丁で、左の薬指の指先を切った。 包丁で怪我をするなんて久しぶりのことだった上、 切れ味の良さも加わり、思わず「あ、切れた」と言ってしまった。 指先の怪我には絆創膏が貼りにくい。おかげで、今まさに「s」が非常に打ちにくい。 実はけっこう働いている、左手の薬指。
****** このまま時が止まってしまえばいいのに、などと思うのは、ここから出て行きたくないと思っている証拠。 一歩でも外に出れば粉々になってしまうほどの、脆弱な幸せだから。
こんな時間がずっと続けばいいのに、と最後に願ったのは、いつのことだろう。
いま、ここで、幸せじゃないわけじゃない。むしろ、十分に幸せだと言える。 けれども、この部屋の中だけで生きていくことはできないから。
自分から招いたつもりはないのに、なぜか繰り返してしまっている。 閉じた空間に限定された甘い甘い時間。
* これじゃぁまるで引きこもりだ。
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