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2003年11月25日(火)  裏庭

「 テルミィは立ち止まり、そこに座り込んだ。やはり、疲れが出て
 きている。この先、たとえ、今度は楽しいものが待っていようと、
 新しい環境に入っていくのはいつだって力仕事だ。・・・」
                                 梨木香歩『裏庭』より

‘小説’というよりも‘物語’という方が正確に思える雰囲気の話を読んでいる。
主人公のテルミィは、愚かではあるが、主人公らしい一生懸命さを備えた女の子だ。



引用した小説とはかけ離れた話になるが、
僕が小学生の頃まで住んでいた、引っ越す前の家には、裏庭があった。
夏になるとアメリカシロヒトリ(という蛾)の幼虫が大発生する木があって、
他にもいくつかは問題があった気もする。
けれど、ちょうど風呂場の裏に当たるその裏庭の向こうには、
ピアノを弾くお姉さんが住んでいて、いつも夜には何かを弾いていた。
とても巧いとは言い難かったピアノを聴きながらの、それでも少しだけ贅沢な気分の風呂。
そんな想い出の風呂場も裏庭も、今はもう無い。
我が家の4人家族が今のマンションに引っ越してから、
すぐにその家は建て替えられた。
今は、当時から住んでいた祖母と叔父と、新たにその奥さんが住んでいる。

こちらがなんとなく時間を過ごしている間に、
全ての物事は具体的に変化していく。


真 |MAIL