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■ ショーゴの帰国
突然ではあるが ショーゴが明日、日本へ帰国することになった。 それを奴の口から聞いたのが月曜日。 NYから帰って、ちょうど一週間が経った日のことだった。
トロントへ来て4ヶ月 目まぐるしくも、充実した日々の中で きっと何かを掴んだことだろう。 「思い立ったが吉日」の言葉どおり すぐに帰国のための航空券を手配した。 あまりにも唐突で、その現実を受け入れるまでに オイラにはまだ時間が必要のようだ。
ショーゴは言葉で表現するのは苦手な人間だ。 だから帰国する理由というのも 本当のところオイラには理解できていない。 トロントでお世話になった人達にも まともに挨拶していないというのだから ショーゴの中でもきっと迷いがあるのだろう。 それが何であれ、友達なのだから明るく「頑張れよ!」と 送り出してあげるべきなんだろうけど、それが出来ない。 勿論、そういう「頑張れよ」的な気持ちはある。 しかし、 しかしなのだ。 あえてキツイ表現で 「なんだかスッキリしない、モヤモヤした帰国だな」と言ってしまった。
その言葉が的確にオイラの気持ちを代弁してはいない。 だが、心の中にある、ある部分を表現してることは確かだ。 他の誰かでも言えるセリフを言ってもしょうがない。 思った言葉をそのまま放とう。
今夜、ショーゴとR子、3人で食事をした。 「ベトナム料理が食べたい」という奴の希望だった。 とりあえず料理をオーダーしたものの 目の前が霞んで食べられない。 長い沈黙。 そしてショーゴもまた箸を置き 霞む目を覆うようにうつむいている。 最後の晩餐だというのに、お通夜のように暗い。
オイラは「スタジオに戻ろう」と言った。 この日のために用意したアイスワインで乾杯する。 このホロ苦い気分を溶かすように 50mlの小さな瓶に入ったその液体は甘く心に染み渡った。 明日、空港へ見送ることを約束して別れた。
2005年01月20日(木)
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