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■ 其の4『N.Y.2日目』
携帯電話についている目覚まし時計で起きる。 ボクは本当に寝起きがワルイ。目覚ましを止めて2度寝モード。すぐにtomolennonに叩き起こされた。 危ない危ない。シーツとフトンをたたんで、シャワーをお借りする。 準備を整えたボク等は、百々さんに送ってもらって駅まで行く。 駅に着く直前、tomolennonが何やらゴミ収集のオッサンに話しかけている。 見ると片方タイヤのとれた買い物用カートをゲットしている。マシンを手に入れ彼はご機嫌だ。 画材が相当重いのであろう。昨晩スーパーでカートを拝借したのを思い出した。
百々さんと別れ、電車に乗り50thあたりまで下る。 今日ボクは朝から気が重たかった。 なぜなら、宿の決まっていないボク等は今日、百々さんのバンドが演奏する場所、 KITANO HOTELに宿を提供して下さいと、交渉しに行こうとしていたからだ。 前から言っているが、ボクは交渉事が大の苦手なのだ。 tomolennonは、「アポ取ってくるだけでイイから」っとさらっと言うが、そう簡単には行かない。 セントラルパークでしばし交渉の練習。ヘタな劇団員よりボクの方がよっぽど練習しているのではないかと思う程がんばった。 しかし、思う様には喋れない。どう見ても怪しいヤツにしか見えん。 自分でそう思うのだから他人から見たらもっと怪しいに違いない。 それからボク等は別れ、tomolennonは絵を描きに、ボクはアポを取りにそれぞれの場所へ向かった。 KITANO HOTELまでの道のりは長かった。その間、ボクは繰り返し繰り返し練習をした。 そして、KITANO HOTEL前。 怖かった。マジで。不得意な事だけにこれで失敗したらどの面さげて帰ればイイのか? そんな事を考えながら30分経過。しかし、いつまで考えていてもラチがあかんと突入。 しかし、案の定フガフガ状態で、「まず一度、お電話をいただけますか?」と とっても落ち着いた口調で言われ、とぼとぼと帰る。 tomolennonはずっと絵を描いていた。 あった事を話すが、もうテンパってるのと、何の約にも立てない自己嫌悪にやられてボロボロな感じだった。 そんなボクを見た彼は、こう言った。 「プリント(絵)1枚売れたからメシ行こ。」 彼の顔を見れないまま、「ウン」と答えるのが精一杯だった。 ボクはもう一度電話をかけてみる事にした。 すると副支配人の方に話を通してくれるとの事。 どのくらいかして電話を受ける。副支配人様!!ボク等の未来はこのお方にかかっている。 電話を代わるべきか迷ったが、“自分でなんとかしなければ”と要らぬ責任感が自分の中にあった。 のっけから相手ペースで話が進んで行く。マズイ。どんどんヤバイ方向に向いている。 最終的に、やはりタダでの宿泊はどうしても出来ないと言われ、電話を切る形になった。 電話でのやり取りをtomolennonに告げる。やはり電話を代わるべきだった。 もう、どうしようもなくヘコむ。 「とりあえず、軽くどっか行こう」 tomolennonはどこまでも気丈だ。 手持ちのお金と相談しながら、夕食前に何か軽くつまめる所を探す。あちこち歩き回って、ダンキンドーナツへ。 睡眠不足と極度の緊張と全て徒歩で移動をしている事からくる疲労。 コーヒーとドーナツを購入し、Ata-Ruへ行くまでの間そこで休む事となった。 しばらく2人とも黙っていた。ふと顔を上げた時、tomolennonはボクにこう言った。 「なぁ、誰にでも失敗する事はあってさ、だからと言ってそれで止まっていたら、次に進めないんだよ。 例えば、今日やるべき事が3つあったとして、最初の1つで躓くとする。でもそれでいちいち落ち込んでたら、 やらなきゃいけない後の2つも出来なくなる。結局、丸1日なにも出来なかったってなっちゃうんだ。 せっかく動いた事が全部無駄になっちゃうんだよ。それって、すごくもったいないよ。そう思わないか?」 グッときた。目から鱗とはこの事だ。いつまでもヘコんでる場合じゃない。 ボクは、持っていたフリーペーパー“週刊NY生活”のニューヨーク生活プレス社に電話をかけた。 そして、話をする事5分あまり。記事を書かせてもらえる事になり、写真とともに、メールで送る事を約束し電話を切った。 その後、Ata-Ruへ移動し、ボク等は「ハイ、いらっしゃい。」とサトウさんに笑顔で迎えられた。 マリアさんを始め、アルバイトの方々も同じ様に迎えてくれた。やっぱり人の笑顔はスゴク嬉しいモノだ。 さて、今日のメニューは『チキン照焼き丼』キョーレツに旨い。今日もおいしいゴハンをいただきました。 ゴハンをいただいて今日はその上、インターネットまで使わせてもらってホントAta-Ru様様でした。 さっきまでのヘコみ具合はどこえやら、ボクはすっかり元気になった。 Ata-Ruを出て向かった先は、KITANO HOTEL。tomolennonの表情が厳しくなっていくのがわかった。 中へ入り、副支配人の小島さんを呼んでもらう。 このKITANO HOTEL内で汚い格好でいるのはどこを見てもボク等だけ。完璧に浮いていた。 小島さんはボクの予想を反して、スラリとした若い方だった。そして小島さんを目の前に緊張していた。 tomolennonが交渉を始める。なかなか首を立てに振ってくれなかったが、 話が進むにつれ実際に絵を見てくれる事になり奥の茶室へと案内される。 実際に絵を見終わった後、やはりHotelとしては、何かと交換して宿泊費をタダにすると言う訳にはいかないと言われる。 ガッカリうなだれていると、なんとそこに足長おじさんが登場!tomolennonが描いたグランドセントラル駅の絵をご購入。 そしてボク等に部屋を用意してくれた。すごい。 「あっ、足長おじさーん!!」ボクは心の中で叫んだ。tomolennonとハイタッチ&ガッチリ握手。
つい3秒前まで、完全に今日の宿はグランドセントラルだと思っていたのに、この好転っぷりはハンパじゃない。 スゴイぞトモレノン!エライぞトモレノン!グランドセントラル万歳!これからはtomolennon先生と呼ばせていただきマス。 かなり調子のヨイ事を頭の中で思いながら、延々ニタニタしていた。 チラッと横を向くと、tomolennon先生もニタニタしておられた。 部屋の用意が出来たと言う事で、キーを貰って部屋の中に入る。荷物を置くとすぐにバーへ行った。 小島さんはそこでボク等の為に飲みモノを用意してくれた。ゴチになります。 tomolennonは絵の準備、ボクは写真を撮ったり物書きをしたりしていた。 演奏が始まり、絵を描きはじめるtomolennonを横に、ガンガン写真を撮って行く。 カメラマンでもいけるんじゃない?と思いながら、Dodo Toru Trioの演奏に耳を傾ける。 いつ聞いても、やっぱり百々さんのピアノはすごく奇麗だ。 2ndセットで百々さんは、tomolennonを紹介。一気に注目を集める。 ライブが終わってからと言うもの、色んな人がとっかえひっかえ見に来てスゴイ事になっていた。
部屋へ戻り、ボクは週刊NY生活に送る記事の作成に取りかかった。 少ししてtomolennonがどこからか帰って来た。 「ほれっ。」 缶ビールだった。乾杯をしてゴクリ。味が違う。 今日の色んな事が混ざり合って、なんと言うか、凄く深みのあるビールだった。 それからtomolennonはTVを見ながら横になると、そのまま眠ってしまった。 TVを消し、静まり返った部屋の中、ボクはひたすら彼にとって最高の文章を考えた。
2004年12月25日(土)
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