-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 日系とのバランス


恒例の、日本総領事館主催の祝賀パーティーへ出席。

今年はRafiも初招待され、奥さんのMaiと行くというので
伴侶の居ないオイラ(笑)は、青木正一さんを同伴する。
夕方、Rafiの家に集合して車で会場である
Westin Prince Hotelへ。

毎年の事ながら、ここは日本の縮図だ。
もとい、
見方を変えれば、これは凄い社交の場である。

総領事、政府高官、トヨタやソニーといった
カナダに支社を置く、名だたる日系企業の
会長、社長クラス、カナダで活躍する文化人たちと
グラスを合わせ、気軽に会話ができるのだから。
これは日本では絶対に有り得ない組み合わせだ。
あったとしても、まずオイラには出席する権利がない(笑)

どんな人物であれ、同じ海外で暮らす日本人として
ひとくくりに集めてしまえるのも、ここならでは。

つい先日、日系企業の方々がよく読む雑誌に
インタビューで取り上げてもらったお陰か、
例年になく色んな方に声を掛けてもらう。
それが2年前だったら素直に嬉しかっただろうが、
去年あたりから、少しずつ違和感を感じるようになった。

トモレノン、ヤバイ。
どんどん日系コミュニティー入りしてるぜ。

そーなんだよ、本来アウトサイドにいるから
自由奔放に好きなことがやれてたはずなのに
イベントやショーが数を重ねるにつれ
日系企業がスポンサーに付いたり、協力してもらったりで
何かとパイプが太くなってきてしまった。
なんか【安全パイ】っぽい。
自分という存在が、日系の中でどういう存在かというと。

つまり、オイラが何かのプロジェクトに名を連ねていると
「トモレノンが関わってるから大丈夫だね」とか
「なら、プロジェクトは上手くいきそうだね」とか
言葉の端々にそういうニュアンスが感じられる。
えぇ!?いつからオイラってそんな存在になったの?
直接、言葉を交わしたことのない人でも
人づてや噂で、オイラの人物像を勝手に作りあげてしまってる。
正直、こわい。

来年は現代ギャラリーでの個展もあるし
日系との関係を切るつもりはない。しかし、
重要なのはバランスだよな。
あまりに日系に傾きすぎるとヤバイ。
カナダ側のオーディエンスに向けて発信するのが弱いと
このバランスが極端に崩れてしまう。
これからは意識的に、日系以外のところへ場を広げて
活動していかねば、と強く感じる。

ダウンタウンに戻ってから
Rafiをはじめ【NO KIMONO】のスタッフを集めて
お疲れ様会をやろう、ということになった。
しかし、明日帰国する青木さんは、あまり乗り気ではない。
皆カナディアンだから、言葉も面倒くさいし、
何より食事が質素だ!というのが主な理由。
来加してからというもの、Rafiが連れていくレストランは
ハンバーガーやピザ、チキンなど
ことごとくジャンキーなものばかり(笑)
それに嫌気が差した(笑)青木さんは
昨晩、一人でオイスター・バーに食事に行ったとか。
そこが大そう気に入ったので、今夜もそこで食事したいという。

分かるなぁ〜、それ。
【もてなす】ことの基準が日本人とカナディアンでは違うから。
若い日本人だったら別だけど
青木さんみたいな、年齢も地位もある人を
ジャンキープレイスに毎晩連れていくのも、どうか?と思う。
Rafiは、「その方が楽しいでしょ?」と
サービスしているつもりらしいけど。
結局、Rafiはスタッフを引き連れて安いチャイニーズ・レストランへ。
オイラと青木さんは、オイスター・バーへと別行動になった。









グルメの青木さんは
「せっかくカナダに来たんだから、カナダらしいものを」と
次々と極上オイスターを注文。
メインは、一匹丸ごとのロブスターだ。
二人でも食べ切れないというほどの巨大なやつで
青木さんは「日本では考えられないほど安い!」と
一匹$80もするのに平然としてる。

今回、青木さんとはゆっくり話しをする機会がなかったので
ここで色んな話が聞けたのは大きな収穫だった。
青木さんがトイレから帰ってきて
「ここのトイレ、面白いよ」と言うので、行ってみると
壁にはエロい写真がずらーっと貼ってあった。
このレストランに来たお客さんらしき人々が
ケツを丸出しにして記念写真を撮っているのだ(笑)
男も女も、老若男女問わず、ケツ。である。
オーナーの趣味なんだろうか?

たらふく食べたところで、Rafi達と合流。
ケンジントンのいつものダイナーで乾杯。
DXのEliseも後からやって来て「あの日」以来の再会。
4日のファッションショーでは、オイラも大変だったが
その次に大変だったのが、このEliseだ。
Rafiが抜けた後を必死になって取りまとめた彼女。
「あんなに長時間のストレスの中で
仕事をこなしたのは初めてだったわ・・・」と
いまだに悪夢を見てるらしい。
そんな話に花が咲いて、みんなかなり飲む。
そして酔っ払う。

外は雪。
明日の青木さんのフライト、大丈夫だろうか?


2004年12月07日(火)
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