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■ 杉野信也 X 可児ひろ海
ベッドに入ったものの、一睡もできぬまま朝を迎える。 Drake Hotelに泊まっているヒロミさんからは まだ、荷物が届いたとの連絡はない。 8時、 9時、 刻々と時間だけが過ぎていく。 あと10分したら、シンさんに電話して 事情を説明して延期してもらおうとしたその時 「届きましたー!」と、ヒロミさんから電話! もう急いで準備してー!と言い残し 途中、BitsのIくんを拾いあげ、 タクシーでDrakeへ向かう。
このフォトセッションは、元々Bitsから 新年号用に何か面白い企画は無い?と打診されて 生まれた企画だ。 オイラが関わってる【Tokyo Doll2-NO KIMONO-】に 参加するCOCOONのデザイナー、可児ひろ海さんの洋服を カナダNo.1の商業写真家、シン杉野さんが撮りおろす。 そして、フォトセッションを終えた2人が対談するというもの。 新年号の表紙+カラー見開き2ページという かなり力の入った企画である。
ひと口で言ってしまうと簡単だが、 実際に「やれる!」という確信をもつまでには 数々の障害とトラブルがあったので セットアップがもう、本当に大変だった。 シン杉野をメディアに引っ張り出したこと、 可児ひろ海をひき合わせたこと、 彼らの難しいスケジュールを調整し、 Rafiの妨害(笑)を何とかクリアしてこの日を迎えた。 正直、これはオイラだからこそ実現できたと自負するね。
最後の最後になって、ヒロミさんのロスバゲがあって 一瞬「終わった・・・」と思ったけど 運が味方してくれたかのように、ギリギリで回避。 1時間ほど押したけど、何とか撮影に漕ぎ着けた。
シンさんのスタジオでは、既にモデルさんのメイクが 最終段階に入ってた。 どんな洋服が来るか、事前に知らされないままに 的確なディレクションをしたシンさんは凄い。 というか、もうレベルが違うから 多少の事では全く動じない人なんだな。

ここから先は、奇跡としか言いようが無い。 杉野信也と可児ひろ海。 天才が2人、ここにいるという感じ。 前夜のJazzExで観たように、 一種のケミストリーというか、ぶつかり合いというか 言葉で表現するには、あまりにも神秘的な出来事だった。 初対面だからこそ、生まれる緊張感は勿論だが それだけではない、何か不思議な空気が2人の間にあった。
Rafiは、あまりこの企画を快く思ってないので 「絶対に夕方4時までにDXに戻ること!」と かなり強く念押しされている。 DXにて、モデルのフィッテイング作業があるからだ。 ヒロミさんの招聘主は、他ならぬRafiであるし その為の費用も全てRafiが出してるわけだから ヒロミさんを拘束する権利は奴にはある。
しかし、それを知ってか、知らずか 予想通り撮影時間は押しまくり。 1時を過ぎた時点で、「これは終わらないな」と読んで、 ランチタイムをカットして、2人の対談部分と 表紙用の撮影(Iくんディレクションによる)だけを 先に済ませることにした。
3:45にスタジオを出て、タクシーでDXへ向かう。 モデルのフィッティングが既に始まっており 早速Rafiに怒られる。 ヒロミさんは、さっさとモデルを決めて シンさんの待つスタジオへ戻っていった。 隣の部屋では、三田くんとシュウコウくんが準備をしてる。 が、何か雰囲気がおかしい。 思いつめたように三田くんが 「おれ、キャンセルしようかな。 これじゃ、子供の学芸会だよ」と言った。
遂に来たか!という感じ。 薄々感じていた、このショーの準備不足を 三田くんは一言で【学芸会】と評した。 こんなことをするために、わざわざ日本から 来たわけじゃない。 ファッション界では、毎年5分のショーをやるために 1年を費やし、制作費をつぎ込んで 全身全霊でショーに挑んでいる。 それ一発に、生きるも死ぬも架かってくるのだ。
オイラが到着する前に すでにRafiと三田くんが激突したらしい・・・。 というか、一方的に三田くんの意見が正しくて Rafiは、ただただうな垂れるのみ。 「やっぱダメ、キャンセルだわ」 Rafiは、じっと固まったままで 視線すら合わせようとしない。 とりあえずEliseに駆け寄って 今から出来得る最善を尽くすように頼む。 Rafiはもうダメだ。 でも、とにかくデザイナーの要求に答えていこう。 まずはモデルだ。 片っ端からモデル事務所に連絡して ポートフォリオを入手するよう指示を出す。
その間、三田くん、シュウコウくんと話をする。 「素人がファッションショーに手を出したらマズイよ。」 「甘いんだよね。」 あ〜、もうズバリそのまま。 もしオイラが今回のオーガナイザーだったら 絶対にファッション業界のノウハウを知ってる人間と 組んでやっただろうな。 業界内でしか分からない、様々な約束事とかは やっぱり外様には分からないことだし。 それをRafiが予想していなかった、又は 常識外の事をやろう!という意気込みがあったにせよ それを「甘い!」と指摘されたら、その通りだ。
ひとまず後は現場のスタッフに任せて タクシーで【JazzEx】の会場であるSenatorへ向かう。
昨晩、すでに合わせているので 軽めのリハーサルのみで終了。 開場までの間、楽屋で明日香さんと秘密の対談。 っつーか【美女缶】の撮影+トーク。 この人は、ほんとサバサバしてて気持ちいい。 R指定のぶっちゃけトークって感じ(笑) 横で、ダイキさんと百々さんが聞いてるから あんまり変なことは言えないけど。
コンサート本番は、客席も昨日以上に埋まって満員御礼。 ミュージシャンも、観客も、大盛り上がりで良かった。 演奏中は、ひたすら写真を撮る。 スタッフのショーゴやケイコらは、かなり憔悴した表情。 それが結構気になった。 自分の経験上、観客やスポンサーも大事だが やはり身内であるスタッフのケアが一番大事だと思う。 「お疲れさま」 「ありがとう」 といった言葉はもちろんだけど お腹は空いてないか? 喉は渇いてないか? 問題はないか? 必要なものはないか? と、絶えず彼らの動向に目を向ける必要がある。
上手く機能してるグループや団体、興行などは そのトップとなる社長や責任者が 例外なく無慈悲の愛情をスタッフに注いでいる。 そしてスタッフは、それに応えるべく更に頑張る。 お金でモノは買えても こういう人間関係は買えないものだ。 言い換えれば 親が子供にするように 無償の施しを与えることが大切なのかもしれない。

コンサート終了後、一旦ホテルへ戻り 明日香さん、百々さん、ダイキさんらと 深夜営業のダイナーへ。 明日香さん以外は、明日の朝帰国だというのに バリバリ飲む気満々。 しかし、トロントでは深夜2時以降お酒の販売はストップ。 仕方なく、オイラと百々さんはミルクシェークで乾杯(笑) あっという間の3日間。 やっと打ち解けたところで、もうお別れである。 ダイキさんとは日本で、 百々さんとは年末のNYで再会することを誓って別れる。
2004年12月03日(金)
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