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■ 文化会館の役目とは?
午後1時より、北の果てにあるJ.C.C.C(日系文化会館)にてミーティング。ここに来るのは本当に面倒だ。いくら豪華な日本の施設でも、こんな遠くにあるんだったら、車持ちの一部の人しか利用できないんじゃない?
そんなJCCCは、拡張工事の真っ最中。新しいホールやら、日本領事館の一部施設が移転入してくる予定。トロントには、大規模な日系の施設がほとんど無いため、大口の寄付や基金、資金援助などが、ここJCCCに集まる仕組み。
中に入ると、充実した設備や広大なスペースがあるにも関わらず、それらが有効に使われてないことに気付く。特に【現代ギャラリー】という、展覧会スペースは、単なる荷物倉庫と化し、かつて行われた『一世展』などの残骸がダンボールに紛れて放置されている。
しかも【現代ギャラリー】というのは名ばかりで、企画されるのは移住者の歴史を辿るような民族資料館まがいの古いもの。ギャラリーのBoradメンバーの面々を知っているが、中には現代美術バリバリの人間もいるのに、どうしてこんな事になるのか?「ああいうものにしか資金が出ないし、許可が下りないんだよ・・・」それが本音である。
いっそのこと、「文化会館」という看板を下ろし、「文化保存会館」や「歴史資料館」に変えた方がいいんじゃないだろうか?文化は絶えず進化し、変化していくもの。日本のある時点だけを美化し、伝承しようとするなら、個人事業でやって欲しい。
映画【ラスト・サムライ(トムクルーズ主演)】を観た外国人に、「日本の文化は素晴らしいですね」と言われたので、ゾクっとした。明らかに、彼が言ってるのは、JCCCに代表されるような【日本の伝統】を指し、現代に生きる俺らの文化じゃない。
今、これに便乗して「京都をみに行こう!」とか「武士道を学ぶ」みたいので商売しようとしてる奴らが大勢いる。一時の【禅】ブームのように沢山の本が出版され、カルチャースクールが開校し、そういうのを求める人にはJCCCはうってつけの施設だと言える。
じゃあ、今の日本ってどういう国だ?となった時に、JCCCを訪れて資料を探す事は不可能だ。職員もほとんどが地元の人間で、日本にさえ行ったことが無い人もいる。そんな人間で成り立っている会館だから、常に変わりゆく時代を反映した文化を伝えるのは土台無理な話だ。
つまり、沼地のように、一回水が溜まったら、その水が入れ替わることも無ければ、新しい清流が流れ込むこともない。
うらやましいのは、中国の文化会館だ。同じアジア系民族でもトロントで日系人6万人に対し、中国系は40万とも50万とも言われている。その需要もあるのか、文化会館には常に、リアルタイムで最新の中国の雑誌や情報が入っている。ビジネスも、中国とトロントで平行経営できるのは、現地の状況を即座に把握できるからでもある。
文化会館とは別に、「現代ギャラリー」がダウンタウン中心部にあり、中国の現役アーティスト達がバリバリと展覧会を行っている。人間の交流も盛んだ。カナダにいても、まるで現地中国とリアルタイムで繋がっている感覚だ。
その役割を中国の文化会館は果たしてるのに対し、日本の文化会館は、いつまでたっても「ある時点の日本文化」のみを重視している。公的資金を導入してるにも関わらず、ある一部の人しか対象にしていない。
映画【ラスト・サムライ】で、一層それに拍車が掛かるのだろう。常々、日本からカナダに戻ると、時間が止まるような感覚に陥る。逆に、カナダから日本へ帰ると【浦島太郎】状態で、すっかり時代に取り残されてる気分になる。これだけインターネットが復旧していてもだ。少なくとも、俺らの世代が求めているのは、現地とのリアルタイムな同期だ。
2003年12月18日(木)
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