-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 メラニーのオープニング

Distilleryにスタジオを持つ、メラニー(写真家)のオープニングに出席。10月のArtfocus展で知り合って、それから【bits】のコラムでも彼女のことを取り上げた。

自分でも、いつか写真を撮ってみたいと思ってるんだけど、機材やら現像の過程やらを考えると足踏みしてしまう。メラニーにその事を話したら、いつでもスタジオ使わせてくれるって。

でも、今どきの写真家はデジタル・カメラが主流だから、そんな現像や機材の知識がなくても出来るという。そこで、俺はやっぱりアナログな人間だから、「いやいや、パソコンで加工したりするんじゃなくて、暗室で薬品を使って、こう現像してる姿に憧れるんだよね(笑)」と言うと、「私も、画家といえば、キャンバスに筆でブァーっと描いてる姿に憧れるわ(笑)」と返された。

画家も写真家も、現代ではパソコンを使う人が非常に多い。で、機材のお陰でどんどん素人とプロの差が埋まっていってるし、自分もその恩恵を受けてるんだけど、それでもなお理想の姿はアナログなのだ。

パーティーの途中で、一階にスタジオを構える【和紙職人】のアケミさんを訪ねる。彼女は、夏のアウトドアショウの時に、俺の絵を一枚買ってくれてからの付き合い。彼女は日系だけど、日本語は全く喋れない。先日取材されたという日本語新聞を見せられて、「これ翻訳してくれない?」と頼まれた。

アケミさんは、とにかくHappyな人。喋っているだけで明るくなれる。今、和紙のランプを作っているらしく、完成したら譲ってもらうことにした。

Distilleryを後にして【Butler's Pantry】へ。昨夜、お客さんから電話があり、4枚ほど購入希望だというので直接会うことにしたのだ。

待ち合わせの7時半ちょうどに着くと、「tomolennon君ね!?」と声を掛けられる。映画の字幕を製作してるというカレンさんは、既に4枚の絵を選び終えて、一番奥の席で待っていた。

こんなに沢山買ってくれる人は久々なので、ゆっくり話しをする。映画制作の現場、他の言語を翻訳する手間、限られた文字数で字幕を作る苦労・・・。並みの人間だったら頭爆発しそう。

彼女がこれまで字幕の仕事を続けてこれたのは、やはりバケーションという長期休暇を頻繁に取ったからだという。南の島で一ヶ月とか、映画のことを忘れてぼーっとするんだそうだ。

傍から聞くと、「優雅でいいですね。」という感じだが、さっきからずーっと鳴りっ放しの携帯電話を見ると、それも必要だと納得する。

4枚買った絵は、一枚は自分用。あとの3枚はそれぞれ友人や家族にプレゼントするのだという。彼女の部屋に飾られた俺の絵が、少しでも安らぎを与えてくれたらな、と思う。



2003年12月04日(木)
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