手塚、雨だよ…(しつこい)
やっぱり梅雨でした。 連日暑くて忘れかけていましたが。 東京に戻ってきていちばん初めに買ったモノが傘でした。 それまでは車がカサ代わりと云う、だらしない生活でしたから…
最近見た、なんて不二塚なの!と思ったCM。
夕方から突然に降り始めた雨。 湿ったアスファルトの匂いが立ち込める昇降口で、 所在無さ気に立ちつくしている人影があった。 まだしばらくは弱まる気配の無い雨空を見上げるその背中に声をかける。 ぼくが、決して見間違えることのない後ろ姿。
「手塚、一緒に入っていきなよ」 「不二…」 「傘、無いんでしょ?」 「……すまん」
梅雨の季節特有の変わりやすい天候に いつもは用意周到な手塚が少し照れくさそうにうつむいて誘いに応じる。 その横顔をこっそりと楽しみながら、手にした傘を鈍空に向かって開こうとしたその時。
「ああぁ不二手塚〜!あのね俺、カサ忘れちゃったんだよ〜。お願い入れってって!」
バタバタと階段を走り降りてくる靴音と、よく見知った甲高い声。 甘えた仕草で両手を付き合わせた英二が拝むように懇願してくる。 ぼくは持っていた長い水色の傘を差し出した。
「いいよ英二。この傘、貸してあげる」 「不二は? いいの??」 「うん。大丈夫だから」 「助かるにゃあ〜! ありがと、不二!」
明日絶対返すから、と言い残して ぼくの傘を差した英二が校門へと駆け出して行く。 残されたのは、傘を持たない僕らと止まない雨音。
まわりからは表情が硬いと言われている手塚の、わかりやすい不機嫌な顔。 その中に、ほんのすこし見え隠れする寂しそうな顔…
ぼくはにっこりと微笑って、学生鞄の中からもう一本の折りたたみ傘を取り出した。
「ぼくらはこっちで、ね?」
ほら。 こんなことくらいで驚いた顔をしている手塚は、まだ全然ぼくのことをわかっていない。 ぼくの優先順位はいつだってきみが一番なんだから。
それにね。
ちいさい折りたたみ傘の方が、きみとぴったりくっついていられるでしょう…?
↑みたいな。 (わかりづらい)
なんのCMだったかな。 ホンモノは同僚らしいサラリーマン男女だったけど。 割り込んでくるオッサンは、代理英二で。
常に不二塚脳だけがムダに活性化しているみゆさん。 どうなのよ…
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