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2006年02月27日(月) 荒川選手の金メダル

 トリノオリンピック。女子フィギュアスケート。荒川静香選手の金メダル。

 荒川選手が滑り始める前、そして滑り始め滑り終えるまで。ずっと正座してテレビ中継を観ていた。
 荒川選手が滑り終え、会場のギャラリーがスタンディングオベーションでその滑りを称えているとのアナウンスを聴きながら、俺はひたすら感動していた。こんな滑りを魅せてくれたことにただただありがとうと思っていた。そして勝手に、荒川選手もこの滑りに満足しているだろうと考えていた。その気持ちは本人にしか分からないが。
 俺は高校時代に、本当にこれは自分達の声なのだろうか?と感じながら舞台の上で合唱した経験がある。舞台袖に下がった時の気持ちは、全て出した、全て歌った、全て歌い切った、これができたことに感謝のみ、というもの。そして、もしも賞を戴けるなら「金」だと思ったけれど、それは結果的についてくる単なる賞で、この感動を体験できたことが何より嬉しく貴かった。結果、金賞を戴け、講評では絶賛され人前なのに大泣きした。
 今回の荒川選手もそんな気持ちなのだろうかと勝手に考えた。

 これも俺の勝手な考え。
 荒川選手は何度も何度も、角度を変え、立場を変え、自分に自分が、自分と自分が、自分をまた違う自分として捉え、とことん話し合ったのかなぁと感じた。
 他人と自分を比較するんじゃなく、自分に他人を当てはめるんじゃなく、自分を自分に突きつけてとことん語り合ったのかなぁと思った。

 俺は以前、暇さえあれば自分と話しをしている奴だった。
 それをやらなくなった時から、俺は俺じゃなくなったのだと、今回気付いた。
 自分とじっくり話をしたくなった。話して話して話したくなった。


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