現在午前0時00分。 日が替わった。 親父がベッドから起き上がろうとして「○○(俺の名前)、ビール飲ませてくれ」と言ったり、洗面所を指して「そこの冷蔵庫にビール入ってるはずや」とか言い出して起き上がろうとしたり、本当に人騒がせだ。
現在午前6時42分。 薬は飲んでいないけど、いくらか眠れた。 もう夜明けだ。 外が明るくなってきた。 親父が口に手も当てずに定期的に咳を撒き散らかすのが最悪だ。 俺の喉の奥の左側が腫れている。 親父の風邪が移ったのかもしれない。
現在午後15時57分。 病院から帰ってきた。 朝方、親父の担当の○×先生がやってきた。 「□□さん(親父の名前)、体調どうですか?」みたいな感じで。 「抗癌剤治療すると、4週間くらい病院から出られなくなると思います。また、□□さんの体力がそれに耐えられるかどうか分かりません。もしかしたら、逆に寿命を縮めてしまうかもしれません」と。 親父が「希望はゼロって事ですか?」と言うと、先生は「そうですね・・・。人間の心臓は誰しもいつかは止まってしまいますけど、□□さんの状態はそれに近づいています。体調も波があるし、今せっかくこんだけ元気なんやから、今仕事してほしいですね。今のうちにどんどん出かけて行ってください」と。 親父は「つらいなぁ・・・」と言っていた。 そんな感じのやり取りをしていた。 それからしばらくしてから。 俺がセブンイレブンで昨日買ってきたホットコーヒーの入れ物にお茶を入れて飲んでいたら、親父がガラッガラのジャイアンみたいな声で「おお俺もコーヒー飲みたいな」とか言い出した。 俺は内心「だから?」と舌打ちした。 俺は親父に「これ、コーヒーちゃうから。ほうじ茶やで」と説明。 でも、親父は「○○(俺の名前)、コーヒー買ってきてくれへんか?」と言ってきた。 また俺にたかんのかよ、こいつ。 俺は親父の事が嫌いなので、親父のこうした間接的な物言いにイラっとくる。 「ジュースもらおうかな」とか「ストローないか」とか。 「ジュース飲ませてくれ」とか「ストロー探してきてくれ」とかじゃなく、あくまでも独り言みたいな形で相手に色々要求するのだ。 殺意を覚える。 結局、俺は親父にコーヒーを買ってやったんだけど。 夕方になり、母親が病院に戻ってきたので、俺は家に帰ってきた。 母親に「ライオンキングどうやった?」と聞いたら「良かったわ」と言っていた。 それは何より。
俺は親父の事は嫌いだけれど、親父の葬式でまたキョドりまくったりしそうで、それが嫌だ。 弟の結婚式の時みたいに「早く終わってくれ。親父の遺体なんて早く焼いてくれ。さっさと終わらせてくれ」みたいな気持ちが強くなって、まともにお別れも出来なくなるんじゃないか、と思うとたまらないな。
病院で何度か仮眠を取ったけど、疲れてる。 今日はそろそろ寝ようと思う。 現在午後16時32分。
現在午後23時11分。 目が醒めた。
癌の告知、余命の告知って、ほぼ「死刑宣告」と同じようなもんだよな、と思う。 そんなに苦しい死に方はしないだろうけど。
弟の29歳の誕生日から、今日でちょうど1ヶ月。
|