囁き
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2002年05月09日(木)

 赤。
 赤。
 紅。

 視界に飛び込んでくるのは、ただそれだけだった。わけもわからず、彼は空を見上げる。そこはただ漆黒。そのとき、頬を伝う雫に気がついた。透明な水、涙。それを拭い、大地を見る。

 骸。

 赤く染まった亡骸。虚無の目をこちらに向け、何も見ていない。それは、見知った顔だった。

「なにをみているの?」

 一つが口を開く。彼は思わず目をそらした。しかし、そこにもある。虚無を湛えた目が。

「貴方がやったことから、目をそらすの?」

 両の手は、真っ赤に染まっていた。絶叫。

「ありがとう、赤くしてくれて・・・だから、これが俺たちの礼・・・赤くしてやるよ」

 骸が起き上がり、手を伸ばして彼に触れる。全身が染まる。彼の叫び声は、風の音にかき消されて己にすら聞こえない。

 ごめん・・・



 そこで目を覚ました。俺は、いつになったら許されるのだろう・・・?


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