囁き
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2001年11月16日(金) 親族の落ちこぼれ

 そこそこ長い歴史を持っている。父方も母方も。
 父方のほうは刀鍛冶で、今でも刀や槍なんかが残っている。けれど、それよりも、オヤジまでで五代、医者を続けているほうが、僕には大きい。父を含め、医者でないほうを探すほうが、僕には難しい。父さんの弟は歯科医。兄はある大学で医学部の教授をしている。祖父も医者。病院を継ぐために、父は今愛媛の実家にいる。本来は父の兄が継ぐのだろうが、教授をしているため、それが無理になり、次男である父さんにまわってきた。
 母方のほうは、更に歴史が古い。歴史書を探せば、室町時代にまで遡ることが出来た。のちに九州に行く大名の御殿医であり、それはずっと続いている。数百年は続いているだろう。
 父方はあまり問題ではない。本来継ぐべきであるのは長男であり、父さんは一時的に継いでいるに過ぎないからだ。結局は従兄弟が継ぐことになるだろう。
 しかし、母方はそうもいかない。本家である家の、直系の血を引き継ぐ男は、世界中探しても僕しかいない。祖母の家に養子に入るという話も、冗談ながらに昔からあった。しかし、もう二十歳。祖父は他界し、祖母も高齢だ。冗談が現実になろうとしている。
 医者を継ぐことは、もう出来ない。その気がない。けれど、名を残し、色々な物を引き継ぐことは出来る。出来てしまう。俺にしか出来ないこと・・・潰してもいいと思うときもある。けれど、数百年の歴史を僕の簡単な思考で無くしてしまうことは、あまりにも恐ろしすぎる。そして、何より僕はこんな人間だ。両家の落ちこぼれと呼ばれてもおかしくないほどの。いや、そう呼ばれるべき存在。
 もし結婚して子供が生まれれば、こんな重みを渡すことはしたくない。継ぐにしろ、継がないにしろ、僕が終わらせるべきだと思う。こんなに重く、怖いものなのだから。
 数百年の重さを、俺はどう扱うのだろう?継がないとして・・・俺はその不安や悲しみに、後悔しないだろうか?祖母は、俺が継がないまま逝って、安心できるのだろうか。ついで逝って、安心できるのだろうか?

 落ちこぼれ男・・・なんでこんな家に生まれてしまった!?


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