under one umbrella

2006年03月13日(月) 本当のところはね





「告白するとね」



「うん」



「ユミちゃんとは……」



「…」



「Bまで」



「Dまで?」



「…Bだよぉ」



「B!!」



「…」



「AをクリアしてB!!!」



「何その驚き方(笑)」



「だってAをクリアしたほうが嫌!!」



「えええーー」



「てかBねぇ……ユミちゃんの車の中で?」



「んん〜」



「(想像中)……ふぅ〜ん……」






夜中の電話。
メールのフォルダの真相を追及して、この話。
フォルダのロックは既に外されていて、
中身は、高校時代のテニスの先輩の女性からのメールであった。

散々、ちょっと好きだったんだろうだとか正直に告白しなさいだとか、
昼間に追求したのだったが、
何にも感じていない、お前を驚かせるためだけだったの一点張り。
どうにも納得がいかない私であったので、
電話でも持ち出してみた。


嘘か本当か、察しあぐねていた。
可能性がゼロということもない。
が、信じる私の反応を面白がろう、という思惑もありそう。
ここ最近何かを隠している様子は、見られなかった。
合コンに行ったことも素直に言ってしまう人なのだから。

口調は、確かに本当のことを言うときのそれだ。
嘘を言うときは何かしら違ってわかるものだが、
口調からは今回はわからない。



そんなことはあるわけがない、という安心感のなかに、
ぴりっと、もし本当だったら、という痛み。
かと言って嘘だったら、馬鹿なことを信じてしまった女ということになる。
プライドの高いあたしは、
どの反応をするべきか悩んでいた。




80%くらいで嘘だろう、と踏んでいたのだけど…
20%を無視することは出来ない。
一応、本当だった場合の心がまえをしておく。




あたしに対する態度は何も変わっていず、
むしろ昔より優しかったけれど、それはもしかしたら罪滅ぼしなのかもしれない。
冷たくなった、なんてことはなかったけれど、
魔が差したようなものなら納得もいく。




そんなことを考えながら、

「嘘やろ?嘘やろ?」

と笑いながら寺島に問い掛けている。
寺島も笑って答えるだけ。


しばらくその無意味な掛け合いが続いた後、
寺島が別の言葉を出した。



「嘘やろっていうけど、本当のところはね」




「うん」






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