不思議なもので、 パソコンの場所が変わると、何も浮かんでこない。 早く年賀状を仕上げて、 部屋の炬燵の上に戻さないと。
ある夜に、 寺島と、買い物に出掛けた。 あのバイト先への、クリスマスプレゼントを買うため。 理由は、少々長いので割愛。
歩いて30分かかる、店。 歩きながら、笑う。
寺島曰く、 最近のあたしのセリフは、刺々しいらしい。 昔は思い出せないけど、 今に刺があることは十分意識しながら、 「そんなことないよ〜」 と、笑った。 悪意なんて、勿論ないけれど。
寺島と行く雑貨屋は、楽しい。 本屋も、楽しい。 CDショップも、楽しい。
理由なんて、知らない。 そう言ったら、あなたは変な顔したけど。 知ってるほうが、嘘っぽくはないですか?
その夜は、12月に相応しく、 息の白くなる、冷えた夜だった。
コートの中に1枚トップスを着ていただけのあたしは、 軽く風邪を引いたらしく。 帰り道、なんだかおかしかった。
熱はないの、と寺島が見てくれたけど、なかった。 元々出ないし大丈夫、と言ったものの、 少しすると、足がふらついた。
「精神的なものだよ」
と、寺島が言った。
「寂しいのかな。 だって誰も癒してくれないもん」
また刺を出してみる。 笑って流してくれること、前提で。
「 … どうやって癒せってんだよっ」
クックッ あたしが小さく笑う。
「言ってみただけ」
「ねぇ陽ちゃん… つかまっても、いい?」
袖に。 瞼が重くて、頭がぼんやりしてた。
「いいよ」
つかまらせてもらってから、少しすると、 寺島が、あたしの手を握ってくれた。
「冷たいでしょ。 だから俺じゃ、暖まらないんだよ」
深い意味なんて、探る余裕はなかった。
「大丈夫」
冷たいから気持ちがいいよと、 どうしてそのとき言えなかったんだろう。
「小さいけど、プレゼント」
お返しは、何にしようか?
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