寺島と縁を切ったのは、4月2日のことだった。 私は大学の入学式だった。
もう随分と、怠惰な関係が続いていた。 同じことの繰り返しだから、書く意味もない。
それでも私はどこかで、寺島に好かれていると思っていた。 少しずつでも私が変われば、またちゃんと付き合ってくれるんじゃないかと。 短所を直せば。 そう思っていた。
入学式から帰ってきた後、会った。 いつになく寺島は、真面目な顔をして、 「けじめをつけよう」 と言った。 でも私は信じなかった。 こんなこと言ってるけど大丈夫、とか。 私がそう言ったときは、つけてくれなかったくせに。とも思っていた。 話は進まなかった。 まだ、次はあると思っていた。
夜に市丸と会って、話した。 「なんだか今日、けじめって言ってたけど。よくわからない」 そう言ったら、市丸が、 「言っていいか?」 と言い出した。 何のことかわからずに、とりあえず「うん」と言った。
何であの人なの? 私が、一番とられたくなかったあの人。 寺島を頼りにしているあの人。 寺島の初恋の人に、似ているあの人。
私の涙を、泣き叫ぶ声を、市丸は受けとめてくれた。
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