ぼんのう
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10月も中盤だが、まだ暑い。 我輩はまだ半そでだ。 この服装でちょうど良い。 なのに世間というのは、暑くてもカレンダーが10月となっていれば、それに相応しい格好でなければ、非国民扱いするようであるな。
暑かった今日、いつものように半そで姿で出勤していると、気のせいか周囲の人が我輩をジロジロ見る。気味悪いので、ジロジロ見ている連中を睨み付けると、コソコソと逃げてしまう。我輩の顔に巨大なハベリアがへばり付いているなら、そりゃ見られるのも仕方が無いが、駅トイレの鏡を見てもいつもの我輩がいる。ただ、暑いのに、他の人達は汗ダクダクになりながらコートを着ている姿は滑稽である。
昼食に出ると、やはりジロジロ見られる。その度に睨んでは、逃げられるのでバカらしくなってきたので、しばらく無視していたが、本屋であまりにもシゲシゲと見る青年がいたので、いつものようにドスを効かせて、
「なんじゃい?」
「いえ、なんでもないです…なんでもないです…」 と逃げていった。 道を歩くと、80歳過ぎた厚着婆さんまでもがジロジロ見てくる。もう飽きたが睨み返すと違う反応があった。 益々舐めるように見始めたよ。 さすが青春を戦争に取られた世代。根性があるのか、遠慮がないのか、それとも寿命尽きる前に、非国民をジローと見納めたいのか…。
気候よりもカレンダーで服を決める者よ。 官僚制度を批判する資格はないぞ。
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