勘三郎が亡くなった。歌舞伎座のさよなら公演でやっちゃんと並んで一幕だけ観たのが勘三郎と勘太郎、七之助の連獅子だったのだけど、この親子いたら新しくなった歌舞伎座も大にぎわいだろうねーと話しながら帰ったのだったけど、新しくなる歌舞伎座に勘三郎が立つことがないなんて誰もあの時思ってもいなかったと振り返ると切ない。

先立った人を想って、生きていたらその人は何と言うか、どうしたか、考えるたびに今の自分にも限りがあることを思い知る。面白かった記憶や、美味しかった記憶や、悲しかった記憶、嬉しかった記憶、愛おしかった記憶、怖かった記憶、情けなかった記憶、言葉にならない記憶もみんな抱えて、死ぬまでは今を生きていく。
|