| 2010年09月01日(水) |
the music master |

私がHMVで1番買ってたのは渋谷で働いてた頃だった。10年くらい前のことだ。その頃からすでに、高校生の頃にわざわざ埼玉から電車で渋谷にcd買いに行ってた頃よりもHMVは確実に面白くなくなっていた。そのさらに5年くらい前、HMVが今パチンコ屋になってるビルに入っていて、タワーレコードが今サイゼリアになってるビルに入っていて、WAVEが今ブックオフになってるビルに入っていて、他にもあっちこっちにレコード屋があって、どこもそれぞれ面白かったという時期があって、その中でも私が好きだったのはHMVだった。あの頃のHMVの洋楽フロアで初めて知ったバンドがどれほどいっぱいいるか。音楽聴くのが1番楽しかったころと、渋谷でレコード屋をハシゴしてたころはとても強く結びついている。
突然WAVEがなくなり、HMVもタワーもそれぞれ大きくなったのが自分にはほとんど同時期だったような気がしている。その中でも1番つまらなくなったのがHMVだった。棚のポップがほとんど目立たなくなり、店員は何を聞いてもすぐに答えられない人ばかりになった。jane's addictionが再結成した時(2003年)にアルバムを出したんですが、渋谷のHMVで輸入盤の発売日はいつですかと聞いた時、店員が手元のパソコンで検索する為に、私はバンド名のスペルをjから全部言わされた。だから何というわけではないけども、あれが自分には象徴的だった。自分の中のHMV渋谷はとっくに終わっていた。今回の閉店を心から惜しむ人がいるとすれば、音楽を音楽以上のものみたいに見せてくれて、世界中に散らばる音楽シーンをバンドやプロデューサーやレーベルに絡めて教えてくれて、自分の好みを自分で見つけられるほど色んな音楽に出会えていた頃のHMVを知らない人なんじゃないかなと思う。なんだか大袈裟に聞こえそうだが、それくらいあのお店は面白い時もあった。前のような感じでこの10年間が運営されていたら、洋楽聴く若い子がもっと増えたんじゃないかとすら思ったりもする。レコード屋に面白味を求める気持ちがすでにノスタルジックなのかも。cdよりアナログ、ダウンロードよりcdって言ってる人と変わらないのかも。
10年前は音楽のネット配信は今ほど主流にはなっていなかったけれど、cdのネット販売は普通になっていた。会社のデータベース見るだけの店員に訊ねるよりも、アマゾンのほうがよっぽど発売日の予定からバンドの過去の作品まで簡単に調べられる上、時々見当違いであれ、私の好みのバンドをおすすめまでしてくれる。それから音楽は1曲単位で買えるようにもなった。cdというかたちにならなくても音楽は音楽だと思うので、よっぽど好きなバンドの新譜とかでない限りcdを買わなくなった。私ですらcd買わないんだから、これから自分で働いたお金で音楽を買うような若い子はcdで買うタイミング自体ないんじゃないかとすら思う。cdプレーヤー持ってないとかも普通かもしれない。パソコンあれば聴けるし。とはいえ夢中になってた昔のようにはいかなくても、時々はレコード屋で自分が今まで知らなかった音楽に出会える機会が、できれば残っていてほしいので、タワーレコードは閉店していきませんようにと思う。金儲けも大切ではあるけど、音楽作ってる人と音楽聴く人の間に立つ、けっこう重要な場所でもあると思う。
|