| 2006年03月10日(金) |
don't come knocking |
仕事後、銀座。シネスイッチ。ここは金曜日がレディースデーで900円で観れます。ヴェンダースの「アメリカ、家族のいる風景」を観る。どうでもいいけどこの邦題って。私の中のサム・シェパードとジェシカ・ラングというと、どうしてもブルース・ウェーバーが撮ったサム・シェパードの写真集の中の2人のままのイメージだったんですけど、2人ともビックリするくらい老け込んで見えて、でもハリウッドスターのようにいつまでも歳取らないのが当たり前みたいな方が本当は逆に怖いんだろうなあと妙に落ち着いて思ったり。
映画は一人の情けない男を中心に展開するので、私はこの前観た「ランドオブプレンティ」の方が断然良かったですけど、アメリカの西部の景色や登場人物みんなの心の隙き間に寄り添うような音楽(「オー・ブラザー!」のT・ボーン・バーネットが担当している)の良さ。もともと大好きなサラ・ポーリーはセリフ言わなくても存在感が本当にいい。それとやっぱりジェシカ・ラング。女のたくましさや弱さや懐の深さがこの人の演技でみーんな見れるようなシーンが。また2人のキスシーンの切ないこと!いつまでも逃げてばかりで覚悟を決められない男を、女は待っていない。待ってはいないけど20年以上も放っておかれた男をまだ好きでいる。にもかかわらず好きであるがゆえに何も考えないで「結婚しちゃおうか」みたいなことを言う男が許せない。許せないけど受け入れていける懐の深さもあったりする。複雑な気持ちに複雑な状況が重なって、色んなことが簡単にいかなくなっても、家族はまた出会った。何もしてくれないし嫌われてたりしてても、自分には家族がいる、と思って生きていける幸せ。

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