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2005年05月08日(日) かすみゆく日々:First Contact


Gustavoと原宿へ。今日は本場のOtakuカルチャーの現場を見せる約束だ。彼は、Otakuに取材して、そこから何らかの芸術作品へのインスピレーションを得たいと考えているようだ。できれば、撮影してそれを芸術作品へ加工したい、などという。少しズレているような気がするものの、彼の言わんとすることも、理解できないわけではない。というのは、日本のサブカルチャー、特にコスプレなどのファッションをめぐる部分においては、日本のみならず、NY、Paris、Londonのデザイナーなどに少なからぬ影響を与えている部分があるし、また、いまや日本の若手芸術家の顔となった感のある村上隆を初めとするキャラクタリズムの流れは、現代美術の最先端を理解するうえで有意義だからだ。私はその世界にはまったく不案内であるが、事前のリサーチの成果を活かして、原宿から明治神宮に続く橋の上へ向かう。

期待通り、コスプレをした女の子たち(ゴシック・ロリータと呼ぶのだろうか?)がたむろしている。Gustavoは大喜びで、「トテモOtakuデスネー!」と、私の耳元で小声の日本語でささやく。昨夜、あらかじめ「Otakuというのはネガティブ・ミーニングを含む場合もあるから、コスプレをしている人々を発見しても指差してOtaku!!などと言わないように」と言い含めておいて本当によかった。

早速取材開始。Gustavoは彼女らの写真を撮っていいか訊いてくれと頼む。仕方がないので、通訳して回る。彼がブラジルから来たアーティストで、日本の文化に興味を持っていることなどを説明し、写真やヴィデオを撮ってもよいかと尋ねる。

そのうち、彼女らにインタビューをしたいと言いだした。何故こういう恰好をしているのかとか、どこでその服を買っているのか、撮影した写真やヴィデオをブラジルでの展覧会にアートとして展示してもよいか等、通訳する。声をかけるだけでも恥ずかしいのに、さらにこういう突っ込んだ質問をするのは実に気恥ずかしい。が、これも芸術のためなら仕方あるまいと観念する。

彼はここで撮ったものをArt Worksに加工するつもりでいる。Otakuカルチャーと現代美術の融合は頭ではかろうじて理解できるものの、どういった作品になるのか想像もつかない。彼の作風に悪影響を与えないことを祈るのみ。結局5・6組くらいのコスプレをしていた人々に声をかけ、写真やヴィデオを撮影する。こんな機会は滅多にないので、途中からは楽しむことにした。

***

その後、竹下通りを案内する。いきなり、路上をスキーを履いてストックを前後に動かし、若者で混雑する坂を上ってくる白人に出くわす。もう一人、相棒のような白人がヴィデオカメラを回してそれを撮影していたから、おそらくこれもパフォーミング・アートの一種なのであろうと推測する。通り過ぎるみんなが目を丸くして見ているのが面白い。

一通り原宿を案内し終えて今度は表参道の方へ。Fujimamaでカレーなど。店員が日本人でなく、英語が通じるので助かる。おいしいカレーを食べて彼が一言。「トテモ、Otaku、デスネー」いや、Gustavo、それ、間違ってるから。昼食後、次なるOtakuの聖地、秋葉原へ向かう。ガイドブックにも紹介されている、メイド喫茶を観察するためだ。しかし、入り口までたどり着いたものの、そこで我々は挫折した。免疫のない我々にとって、その世界は余りにも濃すぎた。

秋葉原を去って今度は東京タワーへ。増上寺経由で東京タワーの根元まで行き、そこで写真。残念ながら、あまり時間が残されていなかったので、展望台に上るのは次回に。あわてて晴海方面へ向かう。友人とその妹と合流し、予約しておいた乗り合いの屋形船に搭乗する。

最後に屋形船に乗ったのはいつだったろう。修習生の時の前期の打ち上げのときが最後だったかもしれない。もうあれから7年近くが経つ。船は晴海を出発し、お台場でしばし停泊。次々と運ばれてくる新鮮な刺身やてんぷらに舌鼓を打ちつつ、日本酒を飲みまくる。程よく酔いが回ったところで、南京玉簾などの伝統芸能の披露がある。誰か参加しませんか、というので、Gustavoを推薦する。彼は持ち前のラテンのノリでやってみるが、なかなか上手くいかない。しかし、彼が失敗するたびに初対面の乗り合いの人々が喝采するので、場が和んで大いに盛り上がった。

Gustavoには、日本の様々な側面を味わってもらいたいと思う。明日が最終日だ。
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