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2004年12月24日(金) NYの街角:NYのある一日



Markから来たリスクファクターのドラフトに手を入れながら他のF-4 Formを参照しAnnual Reportと整合性を保ちつつガリガリ書いていると電話が鳴る。

電話の主は名前を聞いたことがない女性だったが、そういえば、Pennのクラスメイトの知人がNYのLawyerを探しているということで、相談に乗ってくれないか、と言われていたことを思い出した。そのBF(これが依頼者)と一緒にランチ。話を聞く。訴訟になる前の交渉戦略について一般的なアドバイスをするに留める。多国間にわたるdisputeであることや証拠に乏しいことから、このlitigation案件を受任してハンドルするのには、ある程度の時間と費用が必要となるケースだと思われた。

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夜、ぎりぎりまでBusiness DescriptionやらRisk Factorやらのドラフトに手を入れ、友人との会食に向かう。

急いでいたため、下車すべき駅を迂闊にも乗り過ごし、Brooklyn Bridgeまで行ってしまう。仕方なく、もう一駅乗り過ごして、Fulton Stでブルーラインに乗り換えることにする。駅で突然声をかけられる。昼に会ったばかりの、相談を受けた相手のGFだった。NYは狭い。が、これはまさに驚くべき偶然だった。

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予定の時刻をかなり過ぎて、West 4thで降り、友人に電話して迎えに来てもらう。Le Gigotというフレンチ。趣のある小さなビストロだ。

実は彼に会うのはこれでわずか2度目だ。しかし、Pennのクラスメイトの親友で、初対面の時に相当深いところまで関心領域が一致していることをお互いに確認した。話し始めると止まらない。彼は今スタンフォード大学の大学院で日本の現代文学を中心に研究している。が、外交官が本職だ。実に温厚かつ博識で、話していても言葉の隅々までいきわたった素養が常に息づいているのが感じられる。

料理も美味。あっという間に数時間が過ぎ、その後、Parisにこの夏一ヶ月弱滞在してすっかりその魅力の虜になったということを聞く。街歩きをして、ひたすら読書に適するカフェを探して歩いていたということを聞いて、ますます傾向が近いことを実感する。Bastille界隈の話やアラブ研究所の話などしているうちに、そのそばにある水タバコが置いてあるbarの話になる。

実に良かったというので、「ここNYでも、Astoriaにあるよ」と言ってみる。彼の寄宿するアパートは、偶然にもAstoriaにあるというので、早速アラビックカフェに行ってみることに。RラインでBroadwayで下車。そこからSteinwayの25 St.を目指す。かなり歩いて到着。目当てのアラビックカフェのうち、まだ試したことがないカフェに入る。

店のさらに奥に隠し部屋のような小部屋があり、そこを紹介されたので入り込む。部屋の中の壁はアラブの模様の布で覆われており、みな水タバコをふかしている。カードやチェッカーをやっている連中でほぼ満席だ。

「シーシャ?」と聞かれて、そういえば水タバコはシーシャというのだったと思い出す。コーヒーを二つとシーシャをひとつ頼んで回しのみをしながら今度は哲学・現代思想の話などをする。村上春樹への批評のスタンスに話が及んだとき、横に座っていた青年が話しかけてきた。バングラディシュから来ているようで、いろいろと日本にすんでいる友人の話をしてくる。話が長いので正直迷惑しながらも、一応相槌は打ち、別の話を友人と続ける。

12時をだいぶ過ぎて、店を出る。アストリアの道はすっかり人通りも絶えていた。



道すがら、大江健三郎、安部公房、村上春樹、開高健などの話を続ける。明日、彼はスタンフォードへ戻るが、今度はNY Barの宣誓式で1月に来るとのこと。今度会うときは、もっと長く話そうと約する。また、キュレーターの知人が居るそうで、その知人を通じてMoMAを見せてもらうことなどを約束した。今度は一月だ。







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