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2004年09月02日(木) NYの街角:ニューヨークの古本屋


セントラル・パーク・サウス:8月のある雨の日の午後

常盤新平の近刊「ニューヨークの古本屋」の話題を友人がしていたので、Midtownの旭屋書店で購入。常盤新平といえば、一時期アーウィン・ショーの翻訳を読んでいたころに、その訳者としての名前を知った。私が神楽坂に住んでからは、坂の途中の2階にある珈琲貴族という喫茶店の常連であることを知った。

「ニューヨークの古本屋」は、予期に反し、ニューヨークの古本屋を紹介するものではなく、筆者のNYの思い出をつづったエッセイである。もちろん、古本屋の思い出が中心であるが、NYの街歩きの文章として読むことが可能である。この一ヶ月歩き回ったNYの姿が見えてきて、感慨深い。

***

常盤新平は、ジョセフ・ミッチェルの「マクソーリーの素敵な酒場」の解説に十数頁を割いている。その舞台となるマクソーリーの店という古いエール・ハウス(パブ)の話に触れているところを読んでいるうち、私の頭に響くものがあった。

先日、友人たちがフィリーから私を訪ねてきた。その際に、酔いに任せて立ち寄った信じられないほど古い、頑固なエールハウスのことを思い出したのだ。

その友人は、その店のことを、単に"The ale house serves only two kinds of beers, that would be well known as the oldest public house in Manhattan."と言った。既に午後11時を回っていた。床は、歩くたびにきしみ、客の足が運んできた砂で一面覆われている。写真や絵がいたるところに貼られている。中には、伝説的な人物の写真−たとえば、大統領になる前のJFK−が署名入りで飾られている。足の踏み場もないほど混雑している。

友人のいうように、LightとDarkの二種類しかメニューがない。彼女いわく、これより美味いビールは飲んだことがないというのであるが、マグを傾けると、たしかに素晴らしい風味が広がる。そのまま飲み干して、creamyだ、とだけ言って頷いた。LightとDarkを交互に4杯立て続けに空けた、その夜のことを思い出した。

あの店の名前は何だったか。残念ながら、酔いの回ったあの夜の私の記憶を訪ねても、店の名前が立ちのぼってこない。おぼろげに覚えているのは、あの店の特徴的な緑の看板である。しかし、常盤新平のこの書籍を読みすすめるうちに、私は確信に近いものを抱くようになっていった。

今、Webで確認すると、間違いない。あの店である。
http://www.hoganstand.com/kilkenny/images/mcsorleys/bio_page/mcsorleys.html
McSorley's Old Ale House。間違いない。

まだ、「ニューヨークの古本屋」は、半分ほどしか読んでいない。明日は、Strandに立ち寄ることを口実に、街を歩くことにした。

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