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2004年05月20日(木) ニューオーリンズ旅行記(1):空路、ニューオーリンズへ。


Decatur Street

空路、ニューオーリンズへ。ニューオーリンズは日本人観光客にはあまり馴染みがないが、米国ではポピュラーである。米国滞在中に一度は訪れたいと願う場所のひとつであった。

ルイジアナ州ニューオーリンズは、アメリカ南部を代表する都市のひとつで、人口は約48万5000人。いわずと知れたジャズの聖地である。ルイ・アームストロングがここで育ち、その後のジャズの歴史を変えたことが、この街をいまだに有名にしている。日暮れとともに、どこからともなく正統派のジャズが聞こえてくるという街だ。アマチュアのジャズ・プレイヤーも街角に立って演奏している。ジャズのみならず、ブルースやロック、それにZydeco(ザイデコウ)と呼ばれるルイジアナの音楽が通りのあちこちにあるBarやレストランから流れ始める。

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ルイ・アームストロング空港に降り立った瞬間から、熱気と湿気が襲う。蒸し暑い東京の夏に近い。ここで、係員の訛りが強い英語に閉口しながら何とかシャトルバスに乗り、フレンチ・クオーターの西端に位置するSheraton(注)へ。

チェックインを済ませると、早速街に繰り出す。フレンチ・クオーターの中心にぶらぶらと歩を進める。歩き回っているうち、小腹が空いたのと暑さのため喉が渇いたので、ジャクソン公園近くのCafé du Mondeへ。お決まりのベニエとチコリー入りのカフェオレを注文する。



Beignetとはfritterの総称であるが、このカフェでは四角いドーナツを意味する。ドーナツ自体は甘くない。粉砂糖が揚げたてのドーナツに絶妙にからんで美味しい。Café du Mondeのメニューはこれとコーヒーだけ。日本にも支店があるらしいが、行ったことのある友人は、味が全く違うと言っていたことを付け加えておく。

一足先に来ている友人たちと電話で連絡を取り合い、夕食をともにすることに決める。

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夕方、友人たちと再会。友人たちは昨日ここに来て、既にこの街を見て回っている。この街にかなりの期待を抱いている私を気遣ってか、「フレンチ・クオーターは意外に狭く、数時間で回れてしまう。街の雰囲気は洗練されておらず、shabbyと思われるかもしれないので心するように。」と予告しておいてくれた。実際には、私の期待は裏切られることはなかったが、彼らの作戦が意識下で効を奏したのかもしれない。

ジャクソン公園の脇を抜け、セントルイス大聖堂の脇の細い道を通り、いよいよバーボン・ストリート(注)へ。まだ日没前ということもあって、それほど混雑はしていない。プリザベーション・ホールはまだ閉まっている。


オープン前のPresavation Hall

ここには夜に来ることに決め、いくつかのレストランの様子を伺う。最終的にMr. B’s Bistroに決める。ここは、ニューオーリンズの有名な料理人であるBrennan氏の系列のレストランである。日曜日のサンデー・ジャズ・ブランチが有名であるとのことである。ここではクレオール料理が「洗練」された形で提供される。いわば、アメリカ人向けにアレンジしたクレオール料理といったところか。それなりに美味しくはあるが、やや味が濃い。しかし、Brennan’sの秘伝のレシピで作ったというブレッド・プディングは、一口食べて感動した。まず、甘くない。次に、微妙で複雑な味わいを理解する人間が作っていることが明らかである。一皿しか頼まなかったが、3人であっという間に平らげてしまった。



デザートに満足して、通りに出るとすでにあたりは暗い。バーボン・ストリートのネオンサインの数々が、夜はこれからであることを示唆している。まず、お決まりのプリザベーション・ホールへ。プリザベーション・ホールは、もともとギャラリーであった古い建物をそのままジャズの保存という目的で使っている。ニューオーリンズのシンボルであり、ここを訪れない観光客はいない。ここがあるから、ニューオーリンズがアメリカ人に人気の観光地たりえていると言っても過言ではない。毎夜、クラシックなジャズのセッションが開かれている。30分ごとの入れ替え制ではあるが、一人5ドルで何時までも聴いていられる。

中は薄暗く、狭い。その上、汚い。だが、またそれが味わいを深める結果にもなっている。座席は20人も座れば一杯になってしまう。にも関わらず常に行列ができているから、みな地面に直接座るか、壁際やホールの後ろの方に立って聴いている。



曲は、基本的にはその日のバンドマスターのチョイスであるが、リクエストも受け付けている。スタンダード・ナンバーが2ドル、その他は5ドル。ただし、The Saintは、リクエストされすぎて弾き飽きたから、という理由で10ドルとなっている。

演奏は、トランペットがリードし、それぞれのソロのインプロヴィゼーションが入り、トランペットの演奏者が歌うという典型的なスタイル。客を楽しませることを忘れない。ルイ・アームストロングのスタイルである。いずれのプレイヤーも(一部を除き)レベルが高い。特に凄いと思ったのは、ソプラノ・サックスのフランス人の親爺さん。(名前聞き取れず。)インプロヴィゼーションでは、独創的でメロディアスなフレーズをどんどん繰り出す。観客の拍手も一際大きかったような気がする。


Maison de Bourbonで

その後、近くのMaison de Bourbonというジャズ・バーへ。非常に混雑していて、外で演奏を聞いている客もいる。遅くまで酒を飲み、ジャズを聴き、深夜にホテルに戻る。

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(注)フレンチ・クオーターと呼ばれるダウンタウンの一画にある特に有名な通り。ジャズ・バーやレストラン、キャバレーや土産物屋が密集しており、夜ともなれば人で溢れかえる。ちなみに、バーボンという酒が名前の由来ではなく、ブルボン家が由来である。フレンチ・クオーターの通りの名前には、Conti、Chartres、Burgundy、Orleansなどフランスの名家にちなむものが多い。Rue Contiなどと呼ぶ。
(注)ここのSheratonは、非常に豪華な作りのホテルである。受付も感じが良く、部屋のリクエストにも応えてくれる。6日間も滞在するのだから、ホテルは重要であるが、ここは良かった。何よりシーツと枕の感触が最高に良い。

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