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2004年05月13日(木) 西海岸旅行記:Valley of Fire/荒野を走る


Elephant Rock at Valley of Fire

朝早く起床。シャワーを浴びて行動開始。まずホテルのコンシェルジュに電話してレンタカーオフィスの所在を確認。オフィスに赴いて、適当な車種と保険を選択。ホテルのValet Parkingでピックアップできるとのことであるので、連絡を取って友人たちと落ち合い、ピックアップに向かう。しかし、ホテルが広すぎて指定された場所に辿り着けない。ようやくValet Parkingに着いたが、ここは違うとの返事。同じホテル内に別系統のParkingがあるようだ。道順を教わってそこに向かうが果てしなく歩かされる。見知らぬ土地でのドライブで迷うなら話は判るが、ドライブ出発前にホテルの中で迷うというのはシュールな事態である。

30分ほどの探索ののち、ようやく該当のparkingを発見し、係員に車を持ってきてもらう。チップを渡し、乗り込む。車自体は大きめの車種を選んだので、快適である。Stripと呼ばれる目抜き通りからI-15 Northに乗り、加速する。



Valley of Fireの看板を見て右折。NV-169 East。ここからは、砂漠の一本道だ。ナバホ族の経営するストアに立ち寄り、軽く飲み物を買う。なぜか花火が大量に売っている(注)。小さなCasinoが併設されていることにある種の感慨を覚える。後に、ここでもう少し水と食料を買っておかなかったことを後悔する羽目になるが、それは後述する。

そのストアからは何もない道をひた走る。家もなく、典型的な西部の無人の荒野である。対向車もほとんどない。その一本の道を、時速90マイルくらいで飛ばす。車も、予想より加速性能が良く、アクセルを踏み込んでもちゃんと反応してくれる。いつもより快活になっている自分に気づく。20分ほど車を走らせると、目的の場所に到着。



Valley of Fire州立公園は、観光客にはそれほどポピュラーではない。ラスベガスから約1時間強という至便な場所にも拘わらず、他に見るべき場所がありすぎるのが原因であろう。我々も、Rock Artを除き、期待はあまりしていなかった。しかし、いくつもの不思議な造形の景観を眼にするにつれ、これは「当たり」かもしれないと思い始めた。

観光客は少ない。静かである。我々が沈黙すれば、ほとんど何も聞こえない。陽射しは強いが、乾燥しているためか、岩陰に入ると涼しささえ感じる。空は果てしなく青く、はるか上空を飛ぶ戦闘機の機影と、時折ブルーインパルスの訓練機が残す白いスモークの軌跡が見えるものの全てだ。一日を費やして、全てのポイントを見ることに決めた。

まずは、写真を。







主要な目的であるrock artを見ることができるポイントはいくつかある。そのうちのひとつが、Mouse's Tankと呼ばれるトレイル・ポイントである。Rock artは、4000年ほど前のものからAD1400年代のものまで色々あるが、ここのRock Artは相当古い部類に属するらしい。帽子をかぶり、ペットボトルの水を持ち、トレイルを歩く。足元は細かく白い砂で、やや歩きにくい。

看板には、ここはネイティブ・アメリカンが立てこもって英国軍を悩ませたことで知られているとある。なるほど、急峻な岩山の頂上から弓矢を持ったアナサジ・インディアン(注)が現れてもおかしくない雰囲気である。

肝心のrock artは、期待を裏切らないものだった。黒く変色した岩の斜面に、いくつもの人間、ヘビ、太陽、シャーマンなどの原始的形象が独特の配置で書かれている。不思議なことに書かれている斜面は方角が決まっており、日陰になる西側には一切書かれていない。





このトレイルの入り口付近でハミングバードに遭遇。蝶くらいの大きさの鳥が空中で静止しているのを目撃する。このほか、砂漠特有の動物にもあうことができた。小さなリザード(とかげ)は多い。カラフルな緑色である。トレイルから少し外れた、人があまり入り込まないだろうと思われる高い斜面に足を踏み入れたとき、岩の間に居た20センチはあろうかと思われるつがいのリザードと眼が合ったときは心が震えた。ちなみに、この斜面には、rock artに適する黒い表面の岩が多くあったのに、何一つ書かれていない。ひょっとすると、rock artが書かれた遠い昔には、立ち入りを禁じられている場所だったのかもしれない。その斜面の上からの景色は素晴らしかったが、何か禁忌を犯しているような気分になった。

***

ポイントめぐりをしているうちに、水が乏しくなる。ビジターセンターでは、水も食料も売っていない。水や食料の手に入る最も近い街まで車で20分から30分くらいかかる。喉が非常に渇く上、トレイルで体力を消耗するので、非常に難儀した。これからこられる方は、水は多めに、何がしかの食料も買い込んでおいた方がよいだろう。

やがて、全てのポイントを制覇し、余りの空腹に耐えかねて、近くの村へ。ここもナバホの村であるが、マクドナルドがあったので入る。その後、レイク・ミードへ立ち寄るが、日が暮れ始める。街灯など灯りは一切ないので、完全に日が暮れてしまうと道が見えなくなる。日没と競争でValley of Fireの道をひた走る。ほとんど車は見当たらない。時速100マイルくらいで日没間際の奇岩が立ち並ぶ、無人の荒野の中を走り抜ける。素晴らしい体験。



最初に立ち寄ったストアが見えてきたとき、完全に日が暮れた。

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ラスベガスに戻ってからは、食事をし、ラスベガスで最も高いストラトスフィア・タワーに上ったりというごく普通の観光。ちなみにこのタワーの上には3台の絶叫マシンがある。もちろん、気の小さい私は試さなかった。



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(注)アナサジ・インディアンについては、こちらのページに概説的な説明がある。ナバホについては、ここが詳しい。

(注)後で聞いた話であるが、ナバホ族はfireworksが好きな人が多いらしい。







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