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2004年05月11日(火) 西海岸旅行記:印象的な出会い/忘れえぬアンテロープ


翌朝、早朝5時にお願いしたはずのモーニングコールが何故か来ず、ガイドに文字通り叩き起こされる羽目になる。慌てて着替えて飛び出す。ブライス・キャニオンのSun Riseが見れるか微妙な時間になってしまう。


何とか間に合った。期待通りの素晴らしい光景。早朝の太陽光線による、hoodoosの微妙な色彩の変化が美しい。



ナバホ・トレイルと呼ばれるトレッキングポイントに行く。道が幾重にもカーブしていて、なかなか楽しい。見上げると、早朝の空が赤いhoodoosと絶妙のコントラストを成している。



ナバホ・トレイルからの帰り途、朝日を拝んでいるリス君に出会う。こちらが近づいても逃げるでもなく、ただただ魅入られたように太陽の方角に向かっている。小さな手がまるで拝んでいるように見えるから不思議だ。



アルチュール・ランボーの「イリュミナシオン」に、「大洪水の後で」という詩がある。その中で、ウサギが虹にお祈りを捧げるシーンがあるが、それを思い出した。「「大洪水だ」との思いが収まるとすぐに。野うさぎは、イワオウギと揺れるツリガネソウにかかる蜘蛛の巣を透かして、朝日にお祈りを捧げた」という一節である。


彼(彼女?)はいったい何を考えているのだろう。

***

ブライス・キャニオンに別れを告げ、モニュメント・ヴァレーに向かう。途中、ガイドが旅程にないアンテロープ・キャニオンに立ち寄ることを薦めてくれる。旅に出る前に見たガイドブックの写真が頭に残っており、即座にお願いする。これが大正解の判断であったことは、すぐに判明する。

アンテロープ・キャニオンは、4州にまたがるナバホ族の居留地の中にある。特に公園に指定されているわけではない。特に宣伝されているわけでもない。ナバホ族が近くに小屋を立て、そこで入場を管理しているだけだ。これは教えてもらわなければ立ち寄れなかっただろう。

アンテロープには、UpperとLowerの二つの渓谷がある。時間帯からしてLowerが良いとのアドバイスに従って、そこに入場する。ガイドが一言二言ナバホ族の管理人にいうと、とたんに入場料が割引になった。ここは、かつて観光客が増水により死んでいる。その石碑が建っている。11人の死者の国籍を見るとほとんどスイス、フランス、ドイツの人々ばかりだ。なぜアメリカ人が居ないのか不思議に思うが、後でその理由は判明する。


入り口?

近くに来ても、いったいどこに渓谷があるのか判らない。ここだ、ここから入る、とナバホ族の若者に指差されるが、余りにも細く、人が入れるスペースがあるのか、と半信半疑。恐る恐る細い階段を降り始める。



アンテロープ・キャニオンの中に入って唖然とする。谷底は、きわめて狭いが、滑らかな曲線で構成された壁がどこまでも続いている。自然の造形とは思えない、まるで彫刻家の作品のようだ。言葉を尽くすより前に、写真を。








余りに素晴らしい光景の連続に言葉が出ない。120枚撮影できる我が愛機のデジカメのメモリーを使い切ってしまったのが惜しいくらいであった。

アンテロープの中で会う人々は、狭いので声を掛け合いながら進む。ほとんどフランス語やドイツ語で、英語は聞こえてこない。道は徐々に険しく、狭くなっていく。狭い場所は一人の片足がようやく下ろせる程度しかない。太った人は、ここは通り抜けられないかもしれない。何となく、おぼろげにアメリカ人観光客があまり入らない理由がわかるような気がしてくる。

フランス語を使っていたスイスから来たという夫婦と挨拶し、久しぶりに使うフランス語で、この先はどうなっているのか、とか、進むのが難しいかとか色々聞いてみる。その夫婦いわく、進むのはそんなに難しくはないが、行き当たりは階段になっていて、かなり急だったので引き返してきたとのこと。

***

忘れえぬ光景を引きずりながら、モニュメント・ヴァレーに最も近いKayentaの街へ向かう。ここはナバホの街である。途中から砂嵐に遭遇。初めての経験である。前が見えない。





砂嵐の吹き荒れる中、Kayenta唯一のホテルに到着する。車からホテルのロビーに行くまでのわずかな間に眼や鼻、口から耳に至るまで、細かい砂塵が入り込む。ホテルの部屋に行くと、作動中のエア・コンディショナーから砂が入りこんでいる。慌てて止めるが、砂は依然として入り込んでくるので、タオルを濡らし、吹き出し口をふさぐ。

砂嵐が酷いので、様子を見てサンセットを見るかどうか決めるとのガイドに従って、しばらく休息。コンタクトを外して無謀にも出歩いたりする。こんな街にもマクドナルドがあるのを見て感心する。

この後、日暮れ直前に砂嵐が収まるのだが、長くなったので、続きは明日。
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