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2004年05月04日(火) 西海岸旅行記:ゼファー号3日目/サンフランシスコ到着



深夜に列車が停まったので目を覚ますと、ちょうどソルトレイクシティに到着したところだった。

ユタ州の州都ソルトレイクシティは、モルモン教の総本山があるので有名な街だ。冬季オリンピックが開かれたことでも有名である。到着した駅は市内からは遠く、ただの仮駅舎のようだ。自動販売機と待合室のほかは、実になにもない。深夜12時なのでタクシーも停車していない。大学の寮に帰るという若者を地元民らしき人が乗せていってあげると提案している。どういう文脈か判らないが「ここで大学といえばもちろんブリガムヤング(モルモン教の創始者の名前を冠した大学)だよね」とか何とか言っているのが耳に入る。駅の周辺には本当に何もないので仕方なくプラットホームと列車を撮影する。

やがて「発車するぞ」という車掌の声が汽笛とともに響く。車内に戻る。列車はゆっくりと滑り出す。深夜で就寝している客に配慮してか、その始動は繊細で緩やかだ。一歩街を外れると、灯りもないただの砂漠が広がる。何も見えない。ベッドに潜りこみ、文章を書き始めるが、あっという間に意識を失し、眠りの底へ。

***

朝日が昇ったばかりの鉄道ターミナル。穀物を運ぶ貨物列車が停車している。列車は徐行していた。



朝起きると喉が痛い。車内は乾燥しており、送風口からの冷気は止められない。昨日余りに寒かったので文句を言ったが、あまり改善されていない。風邪を引く予感はあったが、本格的に風邪に移行しつつある。調子があまり良くないので、朝食は部屋まで運んでもらった。このあたりは結構融通が利く。



食事をして、風邪を治そうとオレンジジュースなどを大量に飲む。しばらく寝ていると午前10時頃Reno(リノ)の街に到着。リノは温泉があることもあって、古くからの保養地だ。今はカシノがあるので、それなりに栄えているのかと思いきや、風情は熱海のような感じ。心なしか降車する人もご老人が多いような気がする。




ゼファー号の車掌。

リノでしばらく停車。その後、シエラネバダ山脈に差し掛かる。この山脈を越えると、ネヴァダ州からカリフォルニア州に入ることになる。もう列車の旅も終盤だ。High-Sierraのルートについて、ボランティアのガイドによる解説が車内のスピーカーを通じて流れはじめる。この区間だけは、なぜかこのようなサービスがあるようだ。





雪解け水が流れている光景も眼にする。解説によるとこのあたりは熊が出るそうで、消防隊員が頻繁に遭遇するそうだ。写真はLake Tahoe。



ここからの光景はひたすら平原となる。砂漠よりは単調でないものの、どれも似たような牧草地が広がっている。点在する建物が、牧場の生活を忍ばせて興味深い。アメリカ人には、金を稼いで引退後、牧場をしたいという人が少なからずいると聞くが、このような光景を見ていると何となくその気持ちも判るような気がしてくるから不思議だ。



ただ、個人的には、引退後はどちらかといえば、キャンプカーでも買って旅をして暮らす方が性に合っているように思う。実際、この旅の最中、巨大なキャンピングカーを何度も見た。そのようなキャンピングカーは、小さめの車を後部に牽引しているものも多い。おそらくはひとつのキャンプサイトでしばらく住むので、小回りの利く車が必要なのだろうと推測。

***

午後5時09分にエメリヴィルに到着するはずの予定が、サンフランシスコが近くになるにつれ、州都Sacramento、Davis、Martinezの駅で理由も無く1時間くらい停車したりして、時間通りに着きそうにない。アテンダントに聞いてみるが、どこかでMakeupするから大丈夫という実にいい加減な回答。Makeup?ショートカットが可能なわけでもなし。午後5時ごろに再び聞いてみたら、後30分くらいで着くと思うとのたまう。が、どう少なく見積もってみても、あと3時間はかかりそうである。Amtrakはこれがある。ある意味悪名高い。時間は余裕を持っておいた方がいい。まあ、あれだけ広大な大陸を横断するわけだから、このくらいの誤差は仕方がないと考えるべきなのであろう。それにしてもCA州に入るまではほぼ完璧なTime Table通りの運行であったことを考えると、CAで何か問題があったのであろう。



エメリヴィルに着いたのは、結局午後8時半ころ。そこから無料のトランジットバスに乗り換えて、サンフランシスコのほぼ中心にあるユニオンスクエアそばのホテルへ。Handleryという名のホテルだが、実にcozyで良いホテルである。アメニティも結構いいものがそろっているし、シーツもピローもさっぱりして寝心地がいい。部屋を変えてもらったり、コンシェルジェに何度か無理を言ったりしたが、全て対応してくれた。

街に繰り出す気力はなく、近くで飯を食ってすぐにホテルに戻る。意外に列車の旅は疲れるものだ。久しぶりに揺れない客室で夢も見ずに睡眠を貪る。

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