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2003年12月25日(木) 留学日記:アトランティックシティ


先日、フィラデルフィアからもっとも近場のリゾートであるアトランティックシティ(Atlantic City)に足を伸ばした。3日ほど骨休め。以前行ったときは日帰りであったこともあり、あまりCasinoで遊んでいなかったが、今回は時間を掛けて堪能することができた。15年前のラスベガスの記憶と比較すると小粒のカシノ(注)であることは否めないが、それでも掛け金総額はラスベガスを抜いているらしい。

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Atlantic Cityといえば、世界選手権もあるモノポリーというゲームの元になった都市である。そういえば、モノポリーに出てくる鉄道の名称が、PennsylvaniaとかReadingなど、私の現在住んでいる地域に関連する名前であったということを思い出す。モノポリーの不動産物件は、各州の名前のついたAvenueで表されていたが、ここAtlantic Cityには実際にIllinois Av.やNew York Av.といった通りが存在する。

このゲームが作られた当時(1930年ころ)は、ここにはまだカシノはなく、NYから近い温泉療養地としてのリゾートに過ぎなかった。一時期は活況を呈していたようであるが、やがて他に魅力的なリゾートができてくると、温泉と美しい浜辺だけでは人が呼べなくなってきた。そこで、1970年代初頭に住民投票を行い、この地域においてギャンブルを行うことを決定した。

ギャンブルの導入効果は非常に高く、再びAtlantic Cityに活気が戻ってきたのみならず、Atlantic Cityのあるニュージャージー州は、ギャンブル税を財源として消費税をなくし、州内における消費を促進することに成功した。また、この都市における雇用の創出にも成功した。いわゆる「カシノ効果」をもっとも効率的に取り入れた成功例といわれている。

この成功を見て、ニューオーリンズなど他の都市でもAtlantic Cityに続けとばかりにカシノ設置を推進したが、それほど成功してはいないようだ。日本でも石原都知事が湾岸地帯に公営カシノの設置を推進していたが、そのときモデルにしたのは、Atlantic Cityである。もちろんカシノには上記のような良い面だけではなく、勤労意欲の減退や、治安悪化などの懸念がある。日本では、賭博罪の構成要件が広く、特別法の立法を待たなければカシノは設置できない。(パチンコ、パチスロといったギャンブルは、たとえ別経営の団体が換金を行っていたとしても実態を見ればあれを合法とはできない。)石原都知事も同様の理由でいったんカシノ案の撤回を余儀なくされている。

リタイアされたと思しき老人たちを見ることが多かった。既に悠々自適の生活を送っている方々が火傷しない範囲で刺激を求めに来ているのだろう。不穏な人々を見ることはなかった。おそらく、ここまで来るためには、泊りがけで来るほかはなく、それなりにお金を持った人物でなければ入れないということや、ガードマンがいたるところに居て、目を光らせているところなどから、目つきの怪しい人物は入れないのだろう。

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そういえば、来学期に"Market & Speculation"という授業がある。この授業では、ドストエフスキーの「賭博者」がテキストとして指定されている。実に興味深いが、もちろん私は選択していない。友人が履修登録しているようなので、感想を今度聞いてみることにする。

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Jackpot!(でも安い)

ちなみに上の写真のゲームは、モノポリーを基にしたParty Trainというものである。Atlantic Cityを基にしたゲームであるモノポリーを基にしたゲームをAtlantic Cityでプレイするというなんとも面白い状況。

さて、肝心の戦果であるが、最終的にはややプラス。が、とりあえず宿泊費や食事代が出たというくらいである。まあ、無料であれだけ滞在して遊んだと思えば十分である。なお、たとえ勝っても、それを換金するためには係員にチップを渡さなければならない仕組みになっており(注)、勝ち分の10%くらいはチップに消える。飲み物は無料だが、チップで1ドルほど渡さなければならない。当然であるが、儲かるようにはできていない。



私は日本ではパチンコ、パチスロも公営ギャンブルもやらない人間である。念のため。

(注1)Casinoはカジノではなくカシノまたはカシーノと発音する。
(注2)最近はスロットなどでは係員を介さず払い戻しができるシステム(EZ Redemption)の導入を進めているようだ。







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