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2003年05月20日(火) 彫刻家の友人の個展に行く(第1回)


日本橋三越で開催された彫刻家の友人の個展に行った。

エレベータを下りるとすぐ、盛況であるのに少々驚く。名の知れた人からの祝いの胡蝶蘭がいくつも置いてある。友人に挨拶して立ち話。他の客の邪魔にならないように、作品を見て回る。

吊り下げられた鯨の肋骨のような巨大な彫刻が目を引く。鉄分を含んだ石や、名も判らぬ素材を使った独特の特徴あるフォルムの石彫が並んでいる。いずれも一目見て自信作であることが判る。しかし、ほどよく力が抜けているのが好感が持てる。

ギリシャ産の白い大理石の彫刻がある。クラムシェルとでも表現すべきなのだろうか、形容しがたい造形である。照明によって作り出された複数の交錯する影の濃淡が、作品にさらに奥行きを与えている。幼児が一人入れそうな大きさであるが、実際に、後で小さい子供がその中で楽しそうに遊んでいるのを目撃した。石の揺籃とでも表現できるかも知れない。

興味深いのはやや小ぶりのクラムシェル型の黒い大理石の石彫。表面は冷たく、つややかで、磨き込まれている。これもモチーフが同じで造形が独特である。前から見ると、怪物が口を開けているようにも見える。どこかユーモラスであると同時に静謐である。これを見る人は内側を覗き込まずにはいられない。内側も磨かれ、素材の模様が出ている。手に取ると、冷たく心地よい。手になじむ感覚がある。

閉店時間まで粘り、友人とは呑む約束をして帰途についた。ところがその後、帰途の路上で思いがけない余韻のようなものが襲ってきたのである。(次回につづく)







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