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2003年04月01日(火) たまには仕事の話を(第3回)


渉外弁護士(*注)というと、「死ぬほど忙しい」「英語ができないとつとまらない」「会社組織のようで、弁護士になった意味がない」などといわれたりします。そこで、今後は、これらの質問に順番にお答えします。もし、これら以外にご質問があれば、掲示板でリクエストいただければ随時ここでお答えします。文体が変わっていますが、気にしないで頂けると幸いです。(掲示板ではログが流れてしまうので、できればblogに残したいのです。ご理解下さい。)

1. 忙しさについて

まず今日は、「渉外弁護士は死ぬほど忙しく働いているのか?」という疑問についてお答えします。

確かに、ここ数年は忙しかったと思います。外資系企業の経済活動が例をみないほど活発となり、護送船団方式と言われた官庁主導型の企業のあり方が、規制緩和により、頼るべきものが法律しかなくなったため、仕事量が非常に増えたことが一つの大きな原因です。今後も仕事の量は減る兆しはありませんので、忙しさはなかなか緩和されないかもしれません。

多くの若手弁護士は、朝は9-10時から事務所に居て、夜は12:00を回ってもまだ仕事をする者もいます。忙しいときは土日も事務所に来て仕事をしています。これだけ聞くと、「やはり忙しい」と思われるでしょう。

弁護士になって最初の1、2年は仕事の全体像が見えないことや経験不足もあって、仕事に時間がかかることが多いですが、3年くらい経つと、なんとかコントロールできるようになってきます。Quality of Lifeを重視する方は、朝早く来て夜も早めに帰るなど、それなりに仕事時間を調節しているようです。

たとえば、私は、Transactionもの(大型の取引案件)を扱う事は仕事の性質上それほど多くないため、比較的気侭に仕事をしています。それでも忙しい時は深夜まで仕事をします。徹夜になることもあります。ただし、土日は可能な限り休むことにしています。実際にこの一年間で土日に事務所に来たのは、10-20日くらいでかなり少なかったと思います。土日の両方来たことはありませんでした。主観的な感想をいえば、忙しいときは忙しいが、健康を害するほどではないし、会社員でももっと働いている方は大勢居ると思います。

ちなみに、これだけ仕事をするからこそ、非常に多くの有益な経験を積むことができるわけで、悪いことばかりではないと思います。NYの有名な法律事務所でも、若手の弁護士は同じ位働いているようです。

今後、弁護士の人数が大幅に増えるにつれ、事務所が大規模化していけば、もう少し忙しさは緩和されるのではないか、と楽観的に考えています。

次回は英語について。

*注)なお、「渉外弁護士」の定義は、特に決まったものがあるわけではありません。日本の司法試験に合格して司法修習を経て弁護士登録した者で、海外の企業の取引案件や外資系企業が絡む企業再編、その他企業を巡る法律問題について取り扱う弁護士を指していうこともあります。ここでは、100名を超えるような大規模な法律事務所で、渉外案件を取り扱う事務所に所属している勤務弁護士(アソシエイト)の視点から書いています。







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