2003年03月22日(土) |
日々雑感:たまには仕事の話を(第2回) |
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前回の続き。
事務所の仕事は、前回お話したように多岐にわたるが、その中でも誤解されやすいことについて、語ってみたいと思う。まず、最初に「渉外弁護士は、訴訟をしない。」「法廷に立つことがないから弁護士バッジをしない。」ということが事実かどうか、という点から。
まず、訴訟について。渉外弁護士は法廷に立たないとは、昔からよく言われてきたことである。法廷にまったく行かない渉外弁護士が多かったのも事実である。しかし、現在の事務所の様子を見る限り、これは正確ではない。訴訟を多く担当するグループもあるし、毎日のように期日(裁判が行われる日程のこと)が入っている弁護士もいる。(ただ、法廷に頻繁に行く弁護士の割合は10%強くらいであろう。)訴訟の内容は様々であるが、やはり企業活動から生じる紛争案件がほとんどである。比較的大きな、知名度のある案件が仕事として入ってくることが多いようである。余談であるが、私が弁護士になって初めて関与した訴訟案件は、大審院判決で確立していた論点の判断を覆すものであった。関与の度合いは低かったものの、判決が出たとき、やはり心が躍ったことを覚えている。
なお、訴訟を多く扱うグループではなくとも、個人事件として受任して裁判所に行くことになる場合も頻繁にある。事務所によっては国選弁護や当番弁護、その他の個人事件を受任することができないとしているところもあるようだが、うちの事務所では若手の弁護士にとってよい経験にもなるので積極的にサポートする体制になっている。そのため、若手の弁護士は、個人事件で法廷に行くことがままある。厳密にデータをとったわけではないが、実感としては裁判所に行くのが年数回から10回以内というアソシエイト弁護士は6割から7割くらいかもしれない。
また、弁護士バッジについてであるが、確かに着用しない弁護士は多い。法廷に行く場合には手荷物検査のため入り口で確認されるときがあるので、手荷物検査を避けたい場合にはつけることが多い。そのため、渉外弁護士の弁護士バッジは鍍金がはがれず、いつまでも新品同様金色をしているといわれている。
私は年数回裁判所に行くのであるが、ご多分に漏れず、バッジはまだ金色である。
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