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2002年01月05日(土) 平日の街を歩く

振り返って考えてみても、金曜日に街に出かけることは、ここ数年なかったような気がする。ということは、学生時代には当然であった街歩きの習慣が、休日限定であることを意味する。休日の街しか、私は見ていないのだ。

事務所は7日に仕事始めなので、思い立って金曜日の青山・表参道に出かける。

目的といえば、建築物を見に行くことくらいしか思いつかない。とりあえずの目標はフロムファースト。できればフィガロで軽食でも、と思って夕刻の街に降り立つ。縦横に歩き回る。自覚していることだが、表通りではなく、極力裏通りを歩きたがる傾向がある。ラ・ボエームのあたりからYahoo! Café近辺を巡り、その後、道の反対側の裏通りを歩く。神楽坂にもあるカフェ・クレープリーのLe Bretagneがあることを発見する。再び街路樹のある参道へ。無秩序に歩く人々(ほとんどは若い人ばかりである)の歩みに阻まれて、思うとおりの歩き方ができない。少なくとも、ここでの時間の流れは、私の街歩きの速度とは違っている。自分向きの街ではないことを再度確認する。いや、いままで何度確認したことか。

疲れてきた頃合いを見計らってフロムファーストに行くが、フィガロは閉まっている。空に紅色が差してくる。何事もなかったように踵を返す。

青山通りをそぞろ歩き。UN Cafeの入っている建物の書店に立ち寄る。必要があって建築家の生活を綴った書籍を探す。ニーズに完全に合うものは見つからず。安藤忠雄「連戦連敗」などを購入。UN Caféも閉まっている。渋谷にさしかかる坂のあたりを目指して青山通りを歩く。前にも立ち寄ったことのある古家具屋へ向かい、椅子を物色。結局何も買わずに店を出る。店を出るころには、既に街の底に夕闇の空気が沈殿している。不意に、理由もなく(いや、理由は判っている)、明日があることを前提としてその日を生きられることを感謝すべきなのかもしれない、という思いにとらわれる。その思いは紀伊国屋の前を歩く私を沈んだ気持ちにさせる。しかし、誰がそんなことを実感しながらこの街を彷徨するというのか。私は夕陽の沈む方向に沿って、しばらく歩き続けることに決める。







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